第21話 花火の日に

あれから何度かメールでのやりとりがあったけど特に進展はしない。


新築の方は相変わらず辛い…。

それだけでなく、義母からのあたりは強い。

そして、あんなに仲良かった私達夫婦は義両親のことで喧嘩が増えてきている。

義両親のことになると夫は豹変する。

こないだは、夫の聞き間違いでブチ切れて掃除機を振り回して叩き壊した。


親は特別なのはわかる…


でも私は、幼少期から親に対して心の距離があったから、

感謝とかとても大切にしたいとかそういう気持ちにはどうしてもなれない。

私だけ虐待されて父からは無視されて、家族の中でもそういう扱いをしても良いと思われる部類だった。

だから、生きていくためには親や家族に取り入らなければならなかった。

自分を殺してやり過ごして、家族の為に生きていた。いつの間にかどれが本当の自分か分からなくなって。

典型的なアダルトチルドレン。

でも、夫も環境や扱いは違えどアダルトチルドレン。

親の言いなりで何が正しいかとか自分がどうしたいかが分からないみたいだ。

なんだか、ポンコツで未熟者同士のどうしょうもない夫婦だな。


そんな日常が続くけど、まだかろうじて夫のことは愛していた。


そして、ユウスケの再アプローチは止まらなかった。


花火大会に行ったとき。

人が沢山いて賑やかで少し疲れていた。

人混みが嫌いで大きな音も苦手な私だが、花火の色は好きだから頑張ってきた。

でも、花火があまりにも綺麗で気持ちも高揚していた。

あぁ、綺麗だな。幸せだな。

そんな時、メールがくる。


「今度、休みとって旅行行こうよ。」

なんか、心地良くてどうでも良くて

「いいよ。」

って入れてしまった。

「まじで!?嬉しい!」

「うん。」

「でも、セックスもするってことだよ?いいの?」

「うん。」


もう、どうにでもなれ…。


でも、わかってる。

奥深くにある私の本音はユウスケに会いたがってる

ユウスケとのセックスを欲している

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