第17話 とりあえず結婚

ちゃんと同棲してから11ヶ月。

尾崎先生の両親は私にとてもキチンとしていて、特に母親は厳しい影がチラホラ見える。

私は見ないようにして、また笑顔のカメレオンになる。


「うん…。あぁ、わかったよ…。」

お母さんと電話をしているみたいだ。

電話をきると…


「なんか、同棲みたいなことしてるんなら籍だけでも入れなさいって。もし、知られたら親戚の人に面子がたたないって。どうする?」

えっ…?

色々と突っ込みどころの満載の問いだ。

そもそも、あなたの意見は?!

そして、結婚って…。

まぁ、1度はしてみたいし、

普通ってどう言うのか経験してみたいし

帰る場所も無いし

どうせ一人だし

今はこの人が欲しいし

安定してるし

瞬時に多くの事を考える


「いいよ。いつにする?」

「今月中には籍入れないとみたい。」

「急だねぇ。」


こうして、婚約期間とか婚約指輪とかマリッジブルーとかそんなものなんて無縁として過ぎ去り…


籍を入れる


結婚式は挙げたくなかったのに、義理両親に言われるがままにあげる。

挙げてみて、

やっぱり性に合わない。

と思うし、もう2度と挙げたくないと思う。

なんか、

ウソとホントがグチャグチャに入り混じっていて気持ち悪い。

祝福と嫉妬、妬みが入り混じっていて気持ち悪い。

そんな人しか呼べなかった自分にもがっかりする。

カメレオンのように嘘で固めていたしっぺ返しなんだろうね。


この頃は、もうすっかりユウスケのことは思い出しもしなくなっていた。

私の中ではすっかり終わっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る