point of view

第1話

　勝ち組と負け組の差って何なんだろうか。其れは勿論、笑うことが多い方だよ。そう最近５０代になった母も彼氏が出来た姉も言っていたが、そう簡単に笑えない自分にとっては苦の言葉であった。

　確かに笑う門には福来ると言った昔からの言い伝えがあるが、実際自分は笑うのを我慢してしまう。唯一、しっかりと笑う事が出来るのはおやじギャグだった。その場合、素直に笑った方が良いのか戸惑う。大体の人が寒そうにしている中、独りだけ炎天下で顔が火照るように笑うのは他人から観れば可笑しな人にしか見えないのではないか。

　昔、おやじギャグが得意な人を決めるという大会が小さい頃に開かれたが見事優勝しても約束の賞品は貰えなかった。大方、初っ端から何時も元気な相良用だったのではないか。岸田は無愛想で面白く無い只の同級生程度なのではないか。それなら最初から優勝させないで欲しかった。その事賞品なんて要らなくても未だ少し根に持っている自分は可笑しいだろうか。それなら最初から公平でなくても優勝を相良にすれば良かったのではないか思うどうしようもない嫉妬を持っている自分はやはり可笑しいだろうか。

　＿＿笑ったら、勝ち。それって負け惜しみか何かか。そうやって、あざ笑うかのように次女に言ったら頬を叩かれた。「だから根暗って言って皆あんたから離れていくんだよ」ってとっくに分かっているのに唾を吐きながら言われた。

　「浅はかな考えを止めたら、変なプライド捨てて普通に笑ったら」

　じゃあさ何で笑ってられるんだ？最近５０代になってぎっくり腰になった母も、最近彼氏が出来たけど直ぐに別れてしまった姉も夢だった職を付けなかったアンタも。どうしてそんなにどうしようもないことで笑えるんだ？＿＿それが自分には一番分からない事なんだ。

　其れが知れたら勝ち組になれるだろうか。