第2話 銀髪がレア?それムラムラするのと関係ないよね?
「無理。付き合えない。だって俺、お前のこと幼馴染としか思えないもん」
「えええええ!!??ちょっ!追い打ちぃっ!!もっとオブラートに包んでよぅっ!!!」
それを無視して事実を告げると、花梨は再起動してツッコミを入れてくる。
あ、案外大丈夫っぽい。これはいける流れですわ。
「いやー、だってさー。俺たちガキの頃からずっと一緒じゃん?もう兄妹みたいなもんだし、今更女の子として見るの無理っていうか…ぶっちゃけ、花梨といてもドキドキしない。むしろ落ち着く」
「落ち着く!?そこはドキドキしようよ!男の子でしょ!?」
男だよ?お前限定で兄的感情が働くってだけだぞ?
「いや、一時期ちょっと頑張りはしたんだぞ?でもさ、去年つきっきりで花梨に勉強教えたじゃん?部屋にも何度も出入りして、休みの時もずっと一緒だったけどさぁ……ぶっちゃけた話、女の子の部屋にいて、女の子が隣にいるっていうのに…正直、ぜんっぜん!全く!まるで!一切!微塵も!!お前じゃ興奮しなかった……」
「はああああああああああ!!??」
ここぞとばかりに俺は次々と本心をぶっちゃけた。
だってしゃーないやん。そりゃ顔はいいけどさぁ、妹に興奮出来るかって言ったら普通無理だろ?
身体はとっくに身内判定しちゃってるんだよ。身体は正直ってやつなんだ。
「私、あんなにアピールしたのに!?」
「え、してたの」
気づかんかったわ。めんごめんご。
「女の子に興味ないの!?」
「いや、めっちゃある」
当然あるわい。
「私、女の子だよ!?」
「みりゃわかるわ」
これで昔はガキ大将だったとかならともかく、後ろからちょこまかついてくるタイプだったしなぁ。
「私、可愛いよ!?」
「可愛いな」
自分でいうのはどうかと思うが。
「銀髪だよ!?めっちゃレアだよ!?」
「銀髪だな」
それ、言う必要ある?レアだからなんだよ。それはまた別問題やろがい。
「おっぱいも大きいよ!?」
「大きいな」
うん、おっきい。Eはありそうだな。いいことだ。
「なら、普通ムラムラするよ!?」
「俺はしない」
つーかムラムラとか女の子が言うのはよしなさい。はしたないぞ。
そんな子に育てた覚えはないんだがな。
「トウマちゃんは貧乳派なの!?」
「いや、美乳派だ」
「めんどくさっ!じゃあ実際に自分の目で確認しなよ!!!私のおっぱい綺麗だよ!!??」
「いや、ガキの頃散々風呂で見たし…」
「んもおおおおぉぉぉっっっ!!!」
牛のような雄叫びをあげ、地団駄を踏む花梨。
誰もが認める美少女が銀色の髪を振り乱し狂乱する有様は、なかなかにシュールな絵面だった。
「おい、落ち着けよ」
「落ち着いたら付き合ってくれるの!?」
「いや、それは無理」
「んにゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
今度は猫みたいな叫びだな。
てかうっさい。人気が少ない校舎裏とはいえ、誰かきちゃうんじゃないかこれ。
「なぁ、花梨。お前は可愛いよ。ただ、俺じゃお前を性的な目で見ることができないってだけなんだ。今回のことは水に流すから、この告白はなかったことにして新しい出会いを…」
「うるさい!トウマちゃんじゃないと意味ないんだよぉっ!」
ひとまず場を納めようとそんな提案をしてみるのだが、あっさりと一蹴されてしまう。
「かり…」
「ぜっっっっっったい諦めないから!!!トウマちゃんのバカヤロー!!!」
そう叫ぶと、花梨は脱兎の如く駆け出した。
世界を取れるんじゃないかってくらいの速さで三下みたいなセリフをドップラー効果とともに置き去りにし、止める間もなくあっという間に消え去っていく。
我が幼馴染ながら、なんとも恐ろしいスピードだった。
「あっちゃあ…」
やっちゃったかなぁ。でもどうしようもないじゃん。
そういう目で見られないってことは、つまりそういうことなんだから。
「まいったな、これは」
誰もいなくなった校舎裏で頬を掻きつつ、俺は途方にくれるのだった。
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