第二節 夏休み

第一話 〜終業式〜

七月二十日 木曜日

今日は太陽そら達が通う学校の最終日である


あの話し合いからまだ、ほんの数日しか経っていないが、あのあと結局は学校の偉いさんとか色々動いて、太陽そらに対しての〝正式な形での謝罪〟もあったりと慌ただしかった

もちろん〝いじり連中〟はそれなりの罰があったらしく、今ではすっかりと大人しくなっている


担任の先生も〝いじめに関して〟の今後の対策を考えていく課題を出すなど、意識改革をして少しずつクラス内の雰囲気は良くなってきていた

その結果だろうか、今では改心して太陽そらの事を庇ったり助けてくれたりするクラスメイトも増えて、仲のいい関係が出来つつある

・・・それでもやはり一部の〝いじり連中〟とは、未だに折り合いが悪いままであった

特に〝中心メンバーの一部〟や〝かなり酷い扱いをして来たクラスメイト〟とはギクシャクする場面も多く見られる


しかしその時は周りのクラスメイトが間に入ってくれるお陰で、どうにか〝いじり連中〟と〝仲違い〟や〝いじめ〟に発展する事なく過ごしている

お陰で学校は太陽そらにとって、昔とはちがい楽しい場所となっているようだ

太陽そら自身もそんな楽しくなった学校で、わざわざ折り合いの悪い人と関わりたく無いのと、許せない気持ちは〝一度は許した〟今でもあるからか〝いじり連中〟とは距離を置いて過ごしている

太陽そらがそんなここ最近の事に思いを馳せていると


「えーじゃあこれで話は終わるが、明日から夏休みと言って気を抜かず、怪我のないように

くれぐれもハメだけは外さない様に、特に今学期は色々問題もあったから、それだけは忘れるなよ!」


そんな先生の最後の一言で学校最終日が終わった

学校最終日という事もあり、クラスメイトはすでに夏休み気分の人もチラホラ見られる

そんな中、太陽そらはいつもの様にふう達と一緒に帰り、途中のあの場所で二人と分かれた後に〝秘密基地〟を訪れていた

本当は〝いじり〟が無くなったから、太陽そらはここに立ち寄らなくてもいいのだが、ここ数年繰り返してたせいなのか、来ないと落ち着かないようであの後も毎日ここには来ていた

そしていつもの様に〝なんでもない時間〟を過ごした後、ようやく家に帰ったのだった…




太陽そらが家に着くとそこで、玄関の前に一つの影が立っているのに気がつく

それを見た瞬間の太陽そらは、驚きながら大量の冷や汗が出ていた

それはその人物が誰かを悟ったからだった…


〝忘れるはずがない彼女の姿・・・〟


それは…いじめに参加していた一人で、名前を〝涼乃すずの 夏生なつき〟と言う

どことなく憎めないキャラでみんなからは〝すずなつ〟や〝なっちゃん〟〝すずっちー〟など様々な愛称で呼ばれている明るい女の子だ…それも他の子の前だけであった

太陽そらの前ではまるで鬱憤でも晴らしているのかと言うほどの〝暴力〟や〝暴言〟などで当たってきていたのだ

…さっき言った折り合いの悪いままの一人である

だからこそ太陽そらはその光景に驚いていた

夏生なつきはそんな太陽そらを見つけると一つお辞儀をして


「本当に申し訳なかった・・・

お前の事を散々傷つけてこれまでしてた事

本当にすまない!本当はもっと早く謝るべきだったけど、勇気が出なくて…こんな遅くなったけどすまなかった」


そう頭を深く下げながら、体を小刻みに震わして謝罪をした

太陽そらはそんな夏生なつきの弱々しいまでの姿を見ながら、その〝態度〟や〝行動〟が少し〝卑怯〟な気がして、その横を無言で通り過ぎて家の中に入るのだった

その時の夏生なつきの横顔は目を瞑って凄く悲しそうな表情だったが、これまでの事が頭をよぎり太陽そらは許せる気にはならなかった

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