第二章 変化する環境
第一節 小さな変化
第一話 〜二人の日常〜
「ただいま」
そう呟きながら玄関に入る
そこには出迎えなど一度もした事のない桜咲さんが、じっと立っていたからだ…
〝あり得ない…〟そんな感情が
次第に視界はぼやけ、桜咲さんと叔父さん夫婦の
そんな〝驚き〟と〝恐怖〟で動けなくなった
「帰りが遅くて心配したんやぞ」
そう弱々しい声で桜咲さんは呟く
虐待された記憶から体が一瞬ビクついたが、その予想してなかった唐突な言葉に、
しかしすぐ落ち着きを取り戻すと
「ごめんなさい、、、遅くなって」
と小さな声で答える
それを聞いた桜咲さんは
「本当に心配したんやぞ、
それを聞いた瞬間、
「そ、それは、、、本当にごめんなさい
心配おかけしました」
と、咄嗟に頭を下げながら謝る
「いや、
もっとこうして、話しといたら良かったと今更ながら思ったわ」
と
そんな桜咲さんの姿は、どことなく寂しそうな表情をしていた
そんな表情を見ながら
「本当に心配かけて、、、ごめんなさい」
と小さく答えるのだった
玄関での会話を終えた後、
辺りを見渡し机の上にある〝封の開いた遺書〟を見つけると
その後は一階のリビングに向かい、テレビをつけると、さっきの桜咲さんの事への驚きが抜け切れてなかったのか、付いた画面をただ〝ぼー〟と眺めて過ごしていた
しばらくすると桜咲さんがリビングに入ってきて、いつものように晩ご飯の準備を始める音がする
いつもなら会話のない時間が過ぎるのだが、今日はいつもと違って
「
そう桜咲さんが問いかけてきたのだ
突然のことで驚きながらもとっさに
「・・・オム、ライス?」
と大好物を首を傾げながら、疑問を投げかけるような声で答える
そんな
「了解、じゃあ今日はオムライスにしようか」
と桜咲さんは明るく返事を返した
それからほどなくして晩ご飯が出来上がった
ご飯の内容は
いつものように桜咲さんが準備を終えると
「いただきます」
と二人で揃って挨拶をする
食事を終えて皿を洗い終えると桜咲さんが
「この後、少し話をしないか」
と呟くように問いかけてくる
それに対して
「はい、分かりました」
とだけ答えるのだった
身の回りの事を済ませ終えると、二人で隣の仏壇がある部屋に移動した
部屋に着くと仏壇に飾られた〝両親の写真〟を見ながら、桜咲さんが
それからゆっくりと
「えーと、何から話そうか」
と少し緊張したような雰囲気で頭を掻いている
「ぷ、あははは、なんで緊張してるんですか」
と涙を浮かべながら笑った
そんな
「あはは、そうだよな、何を緊張してたんだか」
と呟いた
その姿を見ながら笑いが収まってきたのか
「そうですよ本当に」
と
「よし、それじゃ、今日はこれまで話せなかった分語り合うとしようや」
と明るく優しい笑顔で桜咲さんが言った事に軽く頷くと、
それと一緒に今日帰ってくるまでに起きた〝
桜咲さんはそんな
そんな温かい桜咲さんの温もりに触れて、
その日は結局、夜通し語り合った
もちろん
目が覚めると窓から朝日が差していた
いつの間にか二人で寝てしまったようだ…
洗面台で顔を洗い終えた後は、淡々と日課を済ませていく
しばらくして、いつもの掃除を終えると
「ふぅ、今日も終わったな」
と一息つき朝風呂で汗を流した
同じように七時過ぎぐらいに、眠たそうな表情で桜咲さんが仏間から出てくると洗面台で顔を洗い、朝食の用意を始めた
「桜咲さんいつもありがとう」
と毎日と変わらず、作ってくれるお礼を伝える
いつもなら返事は特にないのだが今日は
「気にすんな、もうすぐ出来るから待ってろよ」
と桜咲さんから返事が返ってきた
この時初めて
それから桜咲さんが準備を終えると、やはりいつものように
「いただきます」
と二人そろって朝食を食べ始めた
「ご馳走さま」
と元気よく答えて早々に食器を洗い、学校に行く支度を済ませる
玄関で靴を履き終えると少し、いつもより大きめの声で
「行ってきます」
と元気よく挨拶をした
すると奥のリビングから桜咲さんが出てきて
「行ってらっしゃい」
と明るく笑顔で返してくれた
それを見た
そんな思いを胸に
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