第三節 七つの都市伝説

第一話 〜自問自答の日〜

太陽そらが朝起きては、まるでループしたような日々の日常を送る

そんな日常にも、そろそろ嫌気がさし始めていた

そんな六月も終わりに近づくある日のことだった




その日はいつものように学校帰りの道でまたふうが訳のわからない質問を始める


「そう言えば知ってる、世界は誰かが暇つぶしに作って、観察して遊ぶための箱なんだって」


そんな突拍子も無い疑問を投げかけるのも、今となっては太陽そら達も慣れているが、その日は少し違った


「それでね僕、思ったんだ

見て楽しむ事って楽しいのかなぁーって

そう思うと神様って意外と退屈な事するよね!

僕ならいっそ、その世界で暮らしながら見て回りたいと思うのになぁ〜」


ふうの投げかけた質問に、ゆきがいつものように返すよりも早く〝答えを答えた〟のだ

いつもならふうのその質問に


「またそれかふう

そんな答えないような質問聞かれても

俺らバカには絶対答えられないぞ」


と呆れたようにゆきが言い返すのだが、どうやら今日のふうは〝自問自答の日〟らしい




そんなふうの〝自問自答の日〟はなんの前触れもなく訪れる

こうなると太陽そら達は本当に困った事になる

なぜ困った事になるのか簡単に説明すると、この時のふうは〝自分からとても話したい事がある〟 というのを伝えてくるサインなのである


つまりはふうがその〝言いたいこと〟を話さないと、この状態がずっと続くのである

しかもそれは太陽そら達から〝何か話したい事があるのか〟と聞くまで話さないと来た

結論から言うとこの状態のふうは、日々の中で一番面倒なのである


前にこの状態のふうを放って置いた事があった

するとふうのこの状態はなんと一ヶ月も続いたのだ

流石にそこまで続くとは、その時の太陽そら達でも思いも寄らなかっただろう

しかもその自問自答の内容もまるで、ループしたように同じ質問と答えを繰り返している会話ときたものだ

それ以来太陽そら達はこの症状が出た時は早期に解決するように決めたのだった




それが今回また唐突に訪れたのだ

仕方がなく太陽そらが第一声を投げかける


「どうしたのふう

なんかあったの、話したい事があるなら聞かせてよ」


するとふうはその言葉を聞いて、目をこれでもかと言うくらい輝かせて満面の笑みで


「うん実はね」


と話を始めた

仕方がないから二人でその話に付き合う事にする

実はこの症状にはもう一つ面倒な事があった

それはふうが〝話したい内容〟をしっかり聞いておかないと、拗ねて一ヶ月ため息ばかりを吐いては、太陽そら達の話に耳を傾けないのだ

しまいには学校にいる先生や友達の会話の中でも、やる気のないため息を吐く始末なのである


そんな事があってからはふうのこの時期には、二人で特に注意して話を聞く事を目的に決めたのである

そんな僕らの気も知らずにふう


「えーと

最近ネットで見つけたんだけど」


と携帯を使って何かを調べている

しばらくするとお目当てのサイトを見つけたのか、画面をこちらに向けて


「これこれ、これ見て」


と本当に可愛すぎるくらいの満面の笑みでその画面を指差す

そこには〝七つの都市伝説〟という題名が書かれていた

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