第六話 〜月〜
僕たちが出会ったのは、
そんな二人の出会いはとても不思議なものだった事を覚えている
両親を亡くした
夜寝る時も、朝起きる時も、昼間の時間でさえ
それでも一緒に暮らした家に思い出があるからか、
ただ両親を亡くして直ぐだから、あまり家にいると両親の事を思い出してしまい悲しくなるようだ
結局、家から離れる機会が多くなっていた
そんな
もともと田舎だから行く所もあまりないし、仕方なく学生がよく使う古びた通学路まで散歩していた
そんな古びた通学路には神社が一つあって、周りは林が生い茂っている
そんなある日のこと
「ニァ〜」
と何処からか猫のなく声が聞こえる
神社の
そこには黒く汚れた猫が一匹だけ座っている
黒猫と見間違えるほどに汚れていたが、その毛の中には何本か綺麗な白い毛がある
「猫ちゃん、ここでなにしてるの」
と
無視された事に
ただ
「ニァ〜」
とやる気のない様な声で鳴いた
振り返るとやっぱりこちらを完全に無視して毛づくろいをしている
そんなやり取りを二、三回ぐらい繰り返した
「ニャ〜」
と今度は今まで以上にやる気のない声で鳴いている
それに
「なにさ、うるさいな」
と言いながら振り返ると、さっきまで無視していた筈の猫と目があった
その猫は
それを目で追いながら少しすると、猫は振り返りまた
どうやら猫は
何もすることがなかった
「猫ちゃん何処に行くの?」
と
当たり前だが返事は返ってこない
そんな猫は神社を出て大きな草木が生えた道に入っていく
草木があってわかりずらかったが、よく目を凝らしてみると〝うっすらとだが道がある〟みたいだ
猫はその道をスタスタと歩いていく
しばらくすると周りは林になっていた
そんな林の中を猫はまだ進んでいく
どれだけ経っただろう
そんな林ばかりが続いていた景色が開いて、その場所はいきなり現れた
そこには林の木を使って作られた立派なウッドハウスと、大きな岩山があちこちにあった
その光景を見た第一印象はまるで〝世界から切り離された幻の空間〟の様だった
その不思議な光景に魅入られていた
「お前、こんな所で何してるの」
その声のする方へと
〝あまりの儚く綺麗な姿〟で子どもだった
そんな姿に目を奪われていた
「聞こえていないのか」
と言う一言で我に返った
無視されたと思って、少し不機嫌な様子を浮かべているのに気がついたのか
「ご、ごめんなさい、あなたの姿が天使みたいで少し目を奪われていました
・・・もしかして本物の天使?」
と正直に答えながら困惑しているのを見て、表情が少し和らぐのを感じた
そしてすぐに
「こちらこそすまない、確かにいきなり声をかけられては困惑するよな」
というと岩山から天使の様に舞い降りて、
「さっきの質問だが、残念ながら天使ではない
僕の名前は
ここは僕の秘密基地で、僕しか知らない場所なんだ」
と自己紹介をした
それを聞いて
「こんにちは、僕は
そこにいる猫について来たら、ここに辿り着きました」
と名乗る
それを聞いて少し驚いた様子を見せながらも
「そうか、こいつが君を呼んだのか…」
と〝何か含むような表情〟で猫を見ながら呟く
それを見ていた
そんな
「そう言うことなら、これからこの秘密基地は僕と君の二人の秘密基地だね」
と笑いかけながら答える
そんな感じに
それからと言うもの、
最初はあまり話さずに一緒にいるだけだったが、少しずつ興味が出てきて、
今となっては〝
『そういえば
こうして改めて見てみると不思議な感じだよな』
と
「あのー、
そう見つめられると僕困るのだけど…」
と少し困ったように言うと
「あぁ、ごめんごめん、そういえば
と少し照れくさそうに謝罪をする
それを見て〝そうなんだ〟と言う風に納得した様子を見せて
「まぁ僕は若いからね〜、逆に
と冗談まじりの笑顔で答える
「そんなことないよ」
と頬を膨らませて答えると、しばらく沈黙の後に二人で吹き出して笑いあった
笑い終えるといつものように
ふと岩山に
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