第5話 吸血鬼族

「よし、そこの檻に入れとけ。きっと高値がつく。」

地下にある檻に小さい子ども(人間でない種族)が檻に入れられた。

「了解です、ボス。」

子どもは小さくうずくまり涙をながしていた。


拠点に集まり新しい任務が始まる。

「アタラクシア王国に獣が出現した。」

シンが言った。

「謎の生命体?」

「どうやら、獣が30体ほど。」

アンジェが説明した。

「この調査を雅也、梨沙行ってくれないか。」

「「了解です。」」


アタラクシア王国へ向かう2人。

だんだん見えてくる。

「ここがアタラクシア王国か。」

建物がたくさん建っていて、真ん中には城が建っている。

「梨沙。これって。」

「やばい。」

2人が見ているのは、建物からは煙が登っていて、ちょくちょく爆発も聞こえてきた。

「急ぐぞ。」

2人はアタラクシア王国に入った。

「シン。」

雅也は無線を繋いだ。

『戦闘か?』

「はい。」

『よし、戦闘準備。』

2人は防具を着る。

「準備OKです。」

「準備OK。」

『戦闘開始!』

2人は獣を倒しに向かう。

獣は2人に気づくと、銃で撃ち始めた。

弾をかわしながら少しずつちかづいていく。

2人はジャンプして屋根に登ると、銃を構えて、撃つ。

弾は獣に命中し、倒れていく。

梨沙はふと気配を察し、対面の屋根にいる雅也を見ると、雅也の後ろにも大きい獣が雅也を攻撃しようとしていた。

「雅也危ない!」

梨沙が大きな声で言ったが遅かった。

獣の攻撃はあと数センチで当たりそうだった。

雅也は咄嗟に剣と銃で身を守る。

でも攻撃の威力は凄まじく、真下にどんどん押されていく。

雅也が登っていた家を貫通しそのまま地面へとどんどん押されていく。

そして、獣と一緒に地下へと押されていった。

「痛いな、クソ野郎。」

地下で戦うことになった、雅也は改めて、剣と銃を持って、獣と戦う。

剣を振るが切れない。どうやらとても硬いらしい。

「さっさと決めるぞ。バースト発動!」

剣が黒く光る。

剣を強く握ると大きく振ると、獣を真っ二つに切った。

「よし。戻るか・・・」

と振り返ようとした時、檻の中に小さい子どもがいるのを見つけた。

雅也は檻のドアを壊して檻の中に入った。

「おい、大丈夫か?」

「雅也大丈夫?」

と上から梨沙が降りてきた。

「あ、平気だ。」

雅也はそう言うと、梨沙が

「その子誰?」

と言った。

「俺にも分からない。多分この子で人身売買をしようとしたのかもな。」

雅也はだいたいの予想を立てた。

「一応その子連れて帰ろう。」

「あー、そうだな。」



2人は子どもを連れて、アタラクシア王国を出ようとした時、

「ここどこ?」

子どもが目を覚ました。

「大丈夫か?」

子どもはキョロキョロと周りを確認した。

「あなたは誰?」

「俺は雅也だ。」

「私は梨沙。」

とりあえず、道の真ん中で話すのもなんだかと思い、川の近くにあった小さい小屋に入った。

子どもを座らせると、

「君の名前はなんていうの?」

梨沙が優しく質問する。

「ミア。」

「ミアちゃんはどこの種族なの?」

子どもに慣れてるかのように接している梨沙に雅也は少し驚いていた。

「ミアね、吸血鬼族なの。」

吸血鬼族。現在は絶滅寸前の種族。人身売買をすると高値がつくとも言われている。

「なるほど、だから檻の中にか。」

雅也は言った。


「ミアちゃん気持ちいい?」

「うん!」

ミアは今湯船に浸かっている。(雅也は買い出し)

「ミアちゃんの親はどこにいるの?」

「お母さんは殺された。お父さんはどっか行った。」

ミアの過去に悲しくなった梨沙は、

「ミアちゃん、私たちのとこに来ない?」

「いいの?」

「もちろん。」

ミアは梨沙の誘いにとても嬉しかったのか満面の笑みをうかべた。

とその時、

「買ってきたぞ。」

雅也が買い出しから帰って来ると、雅也に水が飛んできた。

「まだ、裸なのよ!」

「まじ?!すまんすまん、見てない。」

雅也は急いで外に出ていった。

「いいわよ、雅也。」

梨沙の了承があって、小屋に入った。

梨沙はミアがさっき言ったことを雅也に伝えた。

「なるほどな。来るといいよ。一緒に。」

雅也はミアの方を見て言った。

「ほんとに?」

ミアはもう一度確認すると、雅也は

「本当だよ。」

と言った。ミアは雅也に抱きついた。

「パパ大好き。」

パパと呼ばれた雅也は少し戸惑いながら

「ミア、パパはちょっと・・・。」

ミアは梨沙にも抱きついて、

「ママ大好き。」

と言った。

「ミアちゃん、ママはちょっと・・・。」

雅也と同じ反応の梨沙。

「雅也でいいぞ?ミア。」

「私も梨沙でいいんだよ?」

と言ったがミアは

「嫌だッ!パパとママがいい。」

これはどうしようもないと思ったのか、梨沙は

「いいよ。パパ、ママって呼んで。ミアちゃんの好きな呼び方で呼んでいいよ。」

と言うと、ミアは

「ありがとう!パパ、ママ」

と言って2人まとめて抱きついた。

2人の心の中は多分「可愛い過ぎ」と思っているのだろう。

「俺もいいぞ。パパって呼んで。」

雅也も了承した。

とその時、

ドアが急に壊れ、外から人が現れた。

「おい、お前らそいつを渡せ。渡さないなら殺すぞ。」

男はミアを指さして言った。

「ほぉ、お前らか人身売買をしているやつというのは。」

「なんだ?舐めた態度とって。死にたいようだな。お前らやれ。」

男はこういうと後ろにいた他の男3人を呼んだ。

「あー、もうだるいな。」

雅也は頭を掻きながら言った。

「ミア、少し目をつぶってろ。」

「わかった。パパ。」

ミアは雅也の言う通り、目をつぶった。

「よし、梨沙、ちゃちゃっと片付けようか。」

「そんなの分かってる。」

数分後。

「痛ッ!」

梨沙は全員を手と足をロープでぐるぐる巻きにした。

「痛たッ、すまない、もうやらない。」

梨沙はロープをきつく結んだ。

雅也はミアを抱えて、梨沙と一緒に小屋から出る。

「帰るか。」

「うん。」

3人は拠点へ向かおうとしたその時、

『救援を頼む!このままじゃ・・・』

雅也と梨沙に急な無線が届いた。

その声はシンの声だった。


そして、後で雅也と梨沙は目の当たりにする。

拠点では今大変な事になっているということ。


そして、また無線が

『助けて・・・』

アンジェの声だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る