魔王城近くに住む村人達がチートすぎる件について
@smallwolf
プロローグ
「おっしゃああああ! 獲物ゲットォォォ!」
そこには大型のキマイラを大型のアックスで真っ二つにした巨漢の男。レンディアが居た。
「さすがレンディアだなぁ。今日一番の収穫じゃないか?」
「なーに言ってんだよ
「まあ……うん……ソダネ」
色々と思うところのある僕はレンディアから目を逸らしつつ、答える。
「昨晩もお楽しみだったのかぁ? 言えよぉ! コノコノォ!」
「何がお楽しみだぁぁぁぁぁぁ!! 誰かとベッドインしてもいつの間にか朝になってて眠気も醒めてるんだよぉぉぉぉぉぉぉ!!! ふざけんなよ! ホントふざけんなぁ! これじゃあ僕の
「お、おう……いつも通りなんだかよくわからんが……なんかすまんかった」
そう言ってレンディアは僕に対して頭を下げる。巨大なアックスをぶら下げたまま頭を下げる巨漢の男……うん、とっても似合わないね!!
「ユーシャーーー」
「
そう言って僕のところにやってくる勇者と魔王。
ちなみに2人が呼んでいる勇者とは僕のことだ。
「おはよう2人とも。こんな狩場まで来てどうしたの?」
「私たちも手伝おうと思って!!」
「
そんな健気なことを言ってくれる2人。
それに対して僕は……
「ふっざけんなぁ! 君たちだけには狩りはさせないって言ったよねぇ! 勇者! 君が倒したら魔物は消えて君のバッグにお金が入るだけなんだよ!! お金じゃお腹は膨れないんだよぉぉぉぉぉぉ! この前も死にかけのオーガを倒したよねぇ!! あれがあればこの村はしばらく食料に困ることはなかったんだよ!? それを君が倒すせいで君のお金になっちゃったからこっちは大迷惑なんだよぉぉぉぉぉぉ!!」
「ユーシャ。ご、ごめんなさい。わたしユーシャの役に立ちたくて……」
勇者が僕に対して謝ってくる。うんうん、いいことだね。過ちを認めるのはとてもいいことだ。
でも、僕はまだまだ言わなければいけないことがある。
「そしてカヤ!! 君が攻撃を加えると魔物は毒状態になるんだよ!! この前もレッドドラゴンを攻撃してたよねぇ! 希少なんだよ!? レッドドラゴンはぁ! あの肉はホンットウにおいしいし、たまにドロップするアイテムは高値で売れるんだよ!? それを君が攻撃するから食べられなくなっちゃったんじゃないかぁ! しかも君が攻撃するとアイテムもドロップしないんだよぉぉぉぉぉ!!!」
「
「善意だろうがなんだろうが村の為になってないんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
もうヤダ。この問題児たち。
いや、この2人だけじゃない。むしろ僕はこの世界そのものに怒り狂っている。
「なんで!? ただの村人である僕がこんな目に遭ってるんだよぉぉぉぉ!」
そう、僕の職業は村人だ。
職業が村人というのはおかしいかもしれないが、とにかく村人なんだ。
「見てろ!! 僕は必ずこの世界の在り様をぶち壊してやるぁぁぁ!!
ベッドインしても何もできないとか僕は
僕の名前は
ひょんな事からこのド〇クエのような世界へと召喚されたただの高校生で――
今は魔王城から一番近くの村に住んでいるただの村人……のはずだ。
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