第2話 婚約者との出会い
とはいえ、私がリーンになったことにより、リーンがアリアナを虐めることはなくなった。というか、私のこのゲームの推しはアリアナ様とまあ、もう一人いるんだけど、とりあえず、推しを虐めるなんて、できるはずがない。
まあ、そう言う趣味の人もいるかもしれないが、私にそう言う趣味はない。
「アリアナ、どうしたの?」
階段で玄関に降りる。
玄関でうずくまって泣いている、茶髪碧眼の美少女、アリアナがいた。
「ごめんなさい……お母様が、お母様が!」
「いいのよ、大丈夫、」
私はアリアナを抱きしめた。
アリアナは泣きじゃくっている。
アリアナを虐めるなんて絶対に嫌だ。
アリアナには、攻略対象の誰かと結ばれて、幸せになってほしい。
「…………あ……」
矛盾に気づいてしまった。
そうだ。
私が、彼女を殺し損ねないと、話が始まらないんだ。王宮に呼ばれるのは、彼女が森でヒールを授かったからだ。ヒールを授かったのは、森で瀕死になって、妖精に助けられたから。森で妖精が助けたのは、虐められている境遇でも、それでも強く生きようとした、アリアナの姿勢を妖精が好いたからだ。
私が彼女を殺し損ねなければ、いけない……。
それでも、私は、彼女に暴力を振るうなんてしたくない。いやだ。
ふと、アリアナの顔を見る。
アリアナはまだ泣き止んでいない。
彼女に暴力を振るわず、そのまま育ったら、どうなるのだろう。
そのまま、没落公爵家の2番目の娘になるだろうか。こんな父も母も他界していて、守ってくれる人が誰もいない令嬢なんて、いい結末を迎えるはずはない。
「……」
その時、扉が開いた。
「おはようございます、キャスリーンお嬢様、お誕生日ということなので、祝辞に参りました」
そう言い、同い年ぐらいの金髪碧眼の美少年が入ってきた。
「あっ、貴方は……?」
誰だろう…?
「何をおっしゃっているのですか? 全く、リーン様はお変わりがないですね、」
男の子はクスッと笑った。
ショタだぁぁぁあ!
いま、めっちゃシリアスだった気がするけど、ショタは大歓迎だよ!
てか、ほんとに知らないんだけど、誰だろう、けど、聞くのって絶対、失礼だよね……?
よし、ここは知っているふりで乗り切ろう!
「あぁ、はいはい、こんにちは、ようこそいらっしゃいました、ですが、今、取り込み中でして……」
アリアナはやっと泣き止んだようだ。
「どうされたのですか?」
少年は、すぐにアリアナの方に近づいてタオルを渡した。
「あ、ありがとうございます」
アリアナはお礼をし、タオルを受け取る。
「ん……?」
も、もしかしてこれは、アリアナに好意があるとみた!すると、婚約者とか?! そういう展開ですか……! いいね〜若いね〜!
あれ、でも、ゲームでそんな設定……
「大丈夫ですわ、クリストバル様はお姉様の婚約者様なのですから、お二人でお話など、してきたらいかがでしょう」
アリアナは微笑む。
「……ん?」
え、聞き間違い? 婚約者……? 私の?
マジか……
「そうします、ありがとうございます
さ、リーン様、行きましょう」
「はっ、はい、ありがとうございます……」___________________________________________________
彼は、少し世間話をしたらすぐに帰って行った。
どうやら名前はルーク様と言うそうだ。
名前知らないのバレなくてよかった〜。
と言うか、絶対政略結婚でしょ……と思わずにはいられないぐらいの態度の冷たさというか、なんか、表は良い人なんだけど裏がありそうというか、怖いなぁ……。
ルーク様はどれくらいの位の家柄なのかは知らないけどあまり上すぎると堅苦しくて困るからやだなぁ〜。
とりあえず、ヒールの件はタイムリミットが10歳だから、それまでになんとかしよう〜!
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