第7話 いかがわしい

 

 俺の部屋。光と各々スマホいじったり漫画読んだりしているとカーペットにダラーっと寝っ転がる光から声がかけられた。


「コ、コウ」


「ん、どした?」


「そ、その、通り魔の話とかで有耶無耶になっちゃった、手を揉むというお話は……」


「ごめん、今すぐするから許して」


「ゆ、許すも何も別に怒ってないわよ!……ただ、その、少し楽しみにしてただけよ」


 顔を赤くしながら目を逸らしてそんな事を言う光。


「……可愛すぎるッ!」


「ガッツポーズ取りながら大声で何言ってんのよ!」


「だって、可愛すぎて……」


「私が、か、か、」


「可愛い超絶天使」


「か、可愛い超絶天使……って違うわよ!人になに言わせようとしてんのよ!」


 差し出していた手で俺の頭にチョップする光。全然痛くない。むしろ回復効果あるだろこのチョップ。


「……もう、いい加減怒ったわ!」


「えっ」


「……か、か、肩も揉みなさい!」


 何故か少しにやけて言う光。


「なんで少しにやけてる?」


「き、気のせいよ!ほら、早く揉みなさい!」


「ははーっ!」


 これ以上怒らせたらまずいだろう、うん。本音は早く光の手を揉みたい。


 早速光の手の、親指の付け根を揉む。柔らかっ!


「んぅっ...…」


 苦しそうな声を上げる光。


「あ、ごめん。強すぎた?」


「も、もう少し強めで」


「分かった」


 言われた通りに少し力を強めにして揉んでいく。


「んっ……んっ……」


「大丈夫?苦しくない?」


「だ、大丈夫っ。ちょうど良くて気持ちいいわ」


「それなら良かった」


 光の柔らかい手を堪能しながらしっかりと揉んでいく。ヤバイ、最高。




 ―――






 肩も揉み終わり、何故だか顔を赤くさせてぐったりしている光。


「はぁっ……はぁっ……」


「光、大丈夫?」


「……大丈夫よ、少し気持ち良すぎて。コウ、水って貰えるかしら?」


「あ、なら麦茶ついでくる」


「ありがとう……」


 麦茶をつぎにいくという名目で急いで部屋から出る。


 バタンとドアを閉めて深呼吸して顔を抑える。


「エロ過ぎる……」


 決していかがわしい事をしているはずでは無い。マッサージだ。こんな事光に失礼だ。






 ―――





【光視点】



「はぁっ……コウに引かれなかったかしらっ……」


 正直コウに可愛いと言って貰えるのは凄く嬉しい。でも、もっと、その先が欲しくなってしまうのだ。


 ……少しはコウに意識させる事が出来ただろうか。


「あぁ、コウ好き好き好き好き!」


 足をばたつかせて恥ずかしい事を言う。コウに聞かれたら恥ずかし過ぎるがそんな早く来るわけはない……


「麦茶持って来た、よ、」


 恥ずかしい言葉を聞いてしまったのか麦茶を持ったまま動きを固まらせるコウ。


「あっ……」


「嬉しい!俺も光大好きだよ!」


「あう……」


 恥ずかしさと嬉しさで幸せだ。




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