―無人島シェフ―三ツ星シェフは無人島でも料理の手を抜きませんっ!!

@kkk222xxxooohhh00

第1話 プロローグ

目が覚めると、そこにあるのは見渡すかぎり、1面に広がっている「大自然」のみ。


「……どこだ…ここ…俺はなんでここに…」


鉛のように重くなっていた体を無理やり起こして、俺は立ち上がった。


そして、今一度周囲の風景を見渡してみるが、やはりあるのは「木々」と「海」と「砂浜」だけ。


そんな自然のなかに僕はポツンと1人。


なんで、こんなことになっているのだろうか。

些細なことでもいいからこの状況の成り行きが知りたい。


ふと、俺の目線にはいかにも場にそぐわないようなタブレットが映った。


砂浜に無造作に置かれてあったのだ。


「タブレット……?」


俺はそのタブレットを手に取った。


その瞬間、タブレットの画面は起動して、明るい光を放ち始めた。


どうやら、触れると起動するタイプのタブレットらしい……


その画面には大きな文字で「ログインボーナス」と書かれていた。


「ログインボーナスって……なんのだよ」


目が覚めると大自然の中にいたこと自体、理解し難いのにもかかわらず、ログインボーナスだなんて急に言われてもただ、訳が分からないだけだ。


画面をタップすると場面は進んで、ログインボーナスの獲得報酬のページに飛んだ。



『おめでとうございます!

貴方は初回ログイン報酬である、「シェフポイント5ポイント」を獲得しました』


詐欺のサイトによくありそうな、胡散臭いページではなにか、ポイントをゲットしたと言っている。


果たして、シェフポイントとは何なのだろうか。


画面をもう一度タップしてみると、ゲームのホーム画面のようなページに飛んだ。


そこには大きな文字で「ユニバーサルアイランドプロジェクト」と書かれている。


もうなんのプロジェクトだろうが、怪しいゲームだろうが構わないから、とりあえず俺に説明をして欲しい。


何が何だか分からないんだよ。


僕はしばらく、このタブレット内の色々なページに飛んで、この状況がどういうものなのかと調べてみたが、特に説明などは記載されていなかった。


だけど、ふたつだけ確かに分かったことがある。


ひとつは、「僕は無人島に飛ばされてしまった」ということ。


そしてもうひとつは「もう、簡単には家に帰ることが出来ない」ということ。


つまり、今の俺はピンチなのである。


って、そんなこと初めから分かりきっていた事なんだけど…


なんとなく、助かる方法がないかともう一度、辺りを見渡してみた。


先程、自然以外は何も無いと言ったが、訂正する。


よく見てみると、広い砂浜にポツンとキッチンがあったのだ。


「あれ……?あんな所にキッチンが…」


職業病かなんなのかよく分からないが、俺はそのキッチンへと無意識に向かっていた。


近くで見てみると、思った以上にしっかりとしたキッチンだったので驚いた。


「なんで…こんな所に…キッチンが」


と、ここで前触れもなく手元のタブレットがピコンと鳴った。


タブレットを見てみると、画面にはこのキッチンの説明が書かれていた。


『このキッチンは貴方が帰る為の重要な手がかりになります』


説明とは言っても、説明はこの一文だけで、とても簡素なものになっていた。


このキッチンが無人島から脱出するためにどのような役割を果たすというのだろうか。


ますます、謎が深まるばかりだ。


気がつけば、タブレットの画面は自動的に切り替わっていた。


画面にはなぜか、『今日は何作る?』という文字と共にレシピが映し出されている。


はぁ?俺が何かを作れと?


確かに俺は三ツ星シェフだけれども、さすがに無人島で料理なんてしたことが無い。


そもそも食材が極端に枯渇しているのだ。


しかも、キッチンを一通り見たところ、肝心の調味料がひとつもなかったし……



不満を溜め込みながら、タブレットに目線を戻すと俺はあることに気がついた。


「あ…なんか『お家に帰れるノルマ』っていうページがある…」


俺はすかさずそのページへと飛んだ。


『貴方がお家に帰れるまで、あと【100品】』


はて、どういうことだろうか……


もしかして、こんな何も無い無人島で料理を100品も作れと言っているのだろうか…


だとしたら、非常に酷なオーダーである。


でも、どうやら100品、料理を作らないと帰れないということは本当のことらしい。


だって書いてあるんだもん。


うーん……デスゲームかなんかだろうか。

この鬼畜設定。


「ずっとこの無人島で生活してください」って言っているようなものじゃないか。


でも、そんな文句ばっかり並べていても状況の解決にはならない。


俺は絶対に無理だと思いながらも、レシピ一覧をスクロールさせていった。




プロローグ 〜fin〜






























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