4-3
『何者だ!?』
『奴を
盗賊たちが口々に
銀色に
ヒヨウ・ザックロー。劇用の
「ウオォー! いいぞザックロー!」
「やっちゃえザックロー様ー!」
『おお、無事だったのか我が娘よ……』
『お父様、もう大丈夫です。領主様が騎士様を
『その通り』村人たちに
『我が名はヒヨウ! 罪なき民を
「「「ウオォォー!!」」」
ヒヨウきゅんの登場に、なおも
一方の私は
常人
『待て、動くな! あの娘がどうなってもいいのか!?』
『何……!?』
その台詞が終わるや
「ひゃっ!?」
『親分、
『でかした! グフフ、さあどうするヒヨウ。よもや民を見捨てて俺を始末するわけはあるまいな』
『…………』
「あ、あわわ……」
突然の事態に目を回す私の首元に、なおもナイフが押しつけられる。
こ、これは、私は、どうすれば……。
『──見捨てるわけがない。そして、俺が敗北することもない』
ヒヨウきゅんがそう言い切った
彼は足元に魔法陣を展開すると、風を切る音とともに跳躍したのだ。
「うわわわっ!?」
『ご無事ですか、お嬢さん』
気付けば、私はヒヨウきゅんにお……お
『お嬢さん?』
「あひゃい!! 無事です!! ありがとごじゃいやす!!!!」
『……っふ、フフフ」
私を抱きかかえながら、ヒヨウきゅんが小声で笑った。それは演技ではなさそうな、恐らく彼の素の笑顔だ。
「楽しんでいただけているようで何よりです。オレは貴女のそういう顔が見たかった……ここのところ
「あ……」
「どうかこの後もお楽しみください、ミレーナ様」
そこまで言って、ヒヨウきゅんは優しく私を客席に座り直させてくれた。私がホッと一息吐くと、隣からはさっきまで怯えていた女の子が話しかけてくる。
「お、お姉ちゃん、もう大丈夫? 痛いところない?」
「え、ええ、もう大丈夫よ」
「よかったぁ」心から安心した様子で、女の子が胸を撫でおろす。「ヒヨウ様が助けてくれたもんね。カッコよかったね、ヒヨウ様」
「……ヒヨウ、様……」
ハッと、私は再び顔を上げる。気付けばヒヨウきゅんは再び跳躍して、舞台に戻ろうとしているところだった。
──この国では、
ただ、私は内心ではずっと、ヒヨウ・ザックローのことをヒヨウと呼んでいた。というのは、そっちの方がカッコいいから──というか前世で好きだったマンガのキャラの名前に語感が似てたからなんだけど! ただ、それは今まで口にできてはいなかったのだ。アレクみたいに本人が認めてくれればいいが、ひょっとして不敬と思われてしまうかもしれない……そう思って。
しかし今、彼は自分から役名としてヒヨウの名を使っている。そして今この場でなら、私は彼を思いのままに呼ぶことができる!
「ヒ……ヒヨウ様あぁぁぁぁあああああああ!!!!!!」
好きだぁぁぁぁぁあぁぁああぁぁぁぁああああ!!!!!!!!!!
▲ジョブレベルが上がりました。
私が叫んだのを皮切りにして、周りからも「ヒヨウ様頑張れー!!」「負けるなー!!」という
私の心の中で
ああやっぱり、私は今でも変わらないらしい。たとえ心がすり減ってしまっても、『推し』の頑張っている姿を見られたなら、そして彼らを
自分が
いつしか私の体温で、手の中の紙袋は
『さあかかってこい。民からの思いを受け取った剣は、絶対に貴様なんぞに負けん!!』
「ヒヨウ様ぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!」
──その日、ヒヨウ・ザックロー様をゲストに
……次はアレクやサラくんが出る劇も観たい、なんて言ったら
▲ジョブレベルが上がりました。
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