じゃじゃ馬姫は島開発を条件に契約結婚のはずが、なぜこんな結果になってしまったのでしょうか

SORA

婚約破棄からの逃亡

 ピルカ王国の王女リナリアは、トラクスの王子ランドと結婚するはずだった。


しかし、ランドにこんなじゃじゃ馬娘となんか結婚できないと初対面で言われてしまった。また婚約破棄されてしまうかもと思ったリナリアは逃げることにした。


(今回で婚約破棄されてしまうと10回目だもの。父様に殺される)


今までの婚約破棄の原因は、全てリナリアの性格が原因である。


 やはりピルカ王国も国と国との結びつきを考え、ダイアモンドが発掘できる国や戦闘力の高い国など、ピルカ王国に利益をもたらす国を選んでいたが、ことごとくリナリアの乱暴な性格がバレてしまい、何度も婚約破棄され続けてきた。


そんな婚約破棄ばかりされているリナリアに、なんとトラクスからの見合い話が舞い込んだのだった。きっと権力が欲しいという理由からであろう。


 万が一婚約破棄されても今回なら力でねじ伏せ無理やりにでも結婚にこじつけることができるトラクスは、ピルカ王国のとって都合が良かった。


このチャンスを逃がすともう後がないのである。ピルカ王国のトップでも父もある陛下に言われたのである。


 「今回婚約破棄されるということは、死を持って償うしかお前には残された道はない」


 リナリアはこの世界は恐ろしいと感じながらも、自分が転生者だということに幼少期の間に気づいていてよかったと思っていたのである。


(だって、こんな無茶苦茶な話を普通なら受け入れることできないわよ。何が嬉しくて姫様やらなきゃならないのよ。)


 そう思うと、昔の苦労が蘇ってきたのだった。


 生まれ変わる前は、日本人で名前は手島里奈だった。高校時代は黒ギャルで、ルーズリーフ履いてバリバリプリクラ撮ったりして遊んでいた。


でも、ある時、親の借金のせいでキャバクラで働くようになったのだ。そして、お酒の飲みすぎて肝臓を悪くして死んでしまったのである。


だから、姫様なんか自分の性格に全く合わないのだ。ごきげんようとかより、ギャル語話していた方が楽しいし、笑う時も口元隠さず、豪快に笑いたかったのだ。


 幼少期は教育係のニナにも、よく怒られていた。勉強もできない、礼儀作法も覚えない。私のあだ名は「おバカ姫」だった。


普通の女の子ならよかったけど、姫様は大変だよ?


物語を見る分にはいいけど、いざ自分がなったら、姫様たちの裏の頑張りあっての物語なんだよ。描かれていないことが多いから知らないかもしれないけど……


だから、私には耐えられなかったので、よく家から抜け出して農家の庶民リクの家に避難する始末だった。私には平民の暮らしの方が楽しそうだった。


リクは、私が城から逃げてくると「また逃げてきたのか」と笑って言いながら、リクの家にいさせてくれた。


そして、畑仕事を手伝わせてくれた。土いじりしている時だけが癒しで楽しかった。私は王女に生まれ変わったことに不満を抱いていたのだ。


いつも息苦しい思いをしていきた。リクもそれを知ってるから、私をかくまうと親から怒られるのにも関わらず、私に畑仕事をさせてくれていた。そんな優しいリクが好きだった。


 でも、所詮は庶民と王女。この恋が許されるわけでもない。


 私は、リクを忘れるためにも、婚約話を受け続けていた。それなのに、何度も破棄されてリナリアは疲れていた。とはいえ、全て自分が悪いのだけど……


逃げ出し癖のあるろくでもないリナリアは、ご自慢の逃げ足の早さでトラクスの城から飛び出し、走り去った。


「待てっ。結婚できないとは言ったが、こちらにだって考えが……」


とランドがリナリアに告げようとしていたが、すでにリナリアは部屋を出た後だった。困り果てるランドはため息をついていた。


 リナリアは全速力で走りながら、声高々に言った。


「この話を破棄するためには私の拇印がいるはず……逃げるが勝ちよ!」


どれくらい走ったのだろうか。気づけば目の前には海があった。

一隻の浮かんでいた船を見つけたので、とりあえずその船に乗り、漕いでいると知らない島へとたどり着いた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る