第2話  冬美の奮闘

春子の娘、冬美は、小さいながらも

このままでは

いつかこの家が火事になって

住む所が無くなってしまうという危機感をもっていた


春子が煮物を作り始めた時は、

こっそり台所へ行き

すでに鍋に火をかけたまま

どこかへ行ってしまった春子の代わりに弱火にし、

毎回

「焦げた味しかしない肉じゃがはもう嫌だ、たまには美味しいのが食べた~い」一心で作った。


家族で出掛ける時は

春子が洋服を選び着替えている間に

冬美は窓の鍵を確認し、

電気コードを抜きガスの元栓を閉めて、

春子が玄関の鍵をかけるのを見てから、

出掛けることにしていた。


しっかりした幼稚園児である。


そんな冬美の行動を

春子はまったく気づかない、いや気づかれないように

さり気なくしているのだ。

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