amore mio

有栖川 天子

第1話


高校に進学して約半年。モミジやイチョウの葉が完全に色づいた10月という季節に、私はとある決意ができずにいた。


とある決意というのは、告白する決意。


ま、私だって現役の女子高生ですから、恋だってしてしまうんです。


相手は幼馴染の稔(とし)くん。


彼とは小学校から一緒のクラスだけど、話すようになったのは高校に進学してからだ。


それで幼馴染と呼べるのかは怪しいけど、なんでか稔くんとは、距離が他の男の子と違って近くに感じていた。


そんな稔くんとは、学校の登下校と、SNSや電話でいつもしょうもない話をしている。


しょうもない話とは、本当にしょうもない話であって、話題は毎回変わって共通性がない。でも、話していて楽しい。


稔くんは私のことをどう思っているのかは知らないが、私の「好き」って気持ちは伝えたい。そうしないと、なんかモヤモヤする。


でも、それで もし、フラれちゃったらどうする? 今までの関係が壊れてしまうのは明白だよね。


そんなの、嫌だよ…。


だからこそ、私は告白の決意をできずにいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る