401話 知らないフリ
その後、下水道で魔物を倒したという報告をし、ギルドが確認した事でこの騒動は幕を閉じた。
「あれだな。大騒ぎした割にはあっさり解決したな。」
「そうですね。結局魔物の種類も分かっていないみたいですし、これの調査をしないといけない人達には憐れみしか感じないです。」
「魔界の魔物だったなんて誰も知らないし、教えても信じないわよね。」
「魔界はこっちから召喚用のゲートを開けないといけないってのが常識だからな。偶然ゲートが出来たなんて誰も信じないな。」
「それを実証する術もありませんから、私達は知らないフリしていればいいんですよ。」
「とりあえず、明後日からまた授業が始まるわね。授業の内容を忘れていないか復習しないといけないわ。」
「真面目だなぁ。俺なら適当にやるな。」
「それで何とかなるのは相当の天才だけですよ。王立学園を甘く見てはいけませんよ。」
「クレソンが何とかできるなら俺でもいけると思う。」
「クレソンは…あれは例外です。」
「例外なのか。」
「クレソンが何とか出来ているのは実技の試験で満点をとったり、冒険者として功績を挙げていたりするからですよ。まあ、筆記がボロボロなので毎回ギリギリになっているんですけどね。」
「冒険者かぁ。俺がバリバリ冒険者として活躍している姿を想像出来ないな。俺はこうやって時々コキ使われるくらいがちょうどいいのかもしれないな。…あ」
「そんなにコキ使われたいなら今まで以上に使ってあげますよ。」
「言うと思った。頻度を減らしてもいいんだぞ?」
「それは却下で。」
「何でだよ!お嬢様が勉強しに行ったのに嬢ちゃんは勉強しなくていいのか?」
「私は天才ですから。」
「うざ」
「シンプルな悪口やめてくださいよ。」
「ごめん、心の声がつい。」
「サンドバッグにされたいようですね。」
「死ぬて」
「大丈夫です。少しくらいなら蘇生出来ますから。」
「少し死ぬってどういう事だよ。」
「3分以内なら大袈裟な儀式とか無くても蘇生出来ますよ。」
「まず蘇生が必要な状況にしないでくれ。」
カイトと話しているとそこにサキがやって来た。
「メイさん、何だか面と向かって話すのは久しぶりね。」
「そうですね。同じ屋敷に住んでいるのにどうしてでしょうか?」
「行動範囲の問題じゃないか?引きこもってるサキと外にいる嬢ちゃんじゃ会わないだろ。」
「それも一理ありますね。」
「そうかもしれないけど、引きこもってないし。」
「いい加減認めろよ。」
「うるさいわよ!それはそうと、この魔道具ありがとうね。とっても便利だわ。」
『今まで1人芝居していたみたいになっていたから結構気にしてたのよね。』
「役にたっているなら良かったです。本当は手渡しする予定だったんですけど、色々あったせいで渡せなかったんですよね。」
「そうなのよ。私も今までお礼言いそびれちゃってやっと言えたわ。」
『この魔道具もペンダント型でオシャレだし、どこかの誰かさんとは大違いだわ。』
「何だよ、俺が何したってんだよ。」
「『別に』」
「一体何なんだ?」
「カイトも大変ですね。」
何が何だか分からないカイトと関わりたくないと思ったメイだった。
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