400話 やりたい事
「メイ、何を話していたの?」
「ちょっとした世間話ですよ。それとあの魔物の群れは魔界から逃げ出した魔物だったらしいです。」
「サラッと重要な情報を言うのやめなさいよ。」
「カイトには先に帰ってもらっているので帰りましょうか。」
「ねえ、サタンがメイと昔からの関係だって言っていたけど、どういう事なの?」
「昔からの関係と言ったのですか?」
「うん、サタンは教えても良いと言っていたけど、メイの口から聞きたいの。」
「そうですか。少し長くなるかもしれませんけど、良いですか?」
「うん、ゆっくり聞かせて?」
メイとカレンは近くのベンチに座って話始めた。
「私には前世の記憶があります。その時にサタンの一部と融合し、今の力を手に入れました。メリットとしては私は強大な力がすぐに手に入る事、サタンは私の感情を吸収する事によりさらに強くなれる事です。デメリットとしては適合しなかった場合私は死んでいた可能性がありますし、サタンも一部が無くなっているので弱体化する事です。まあ、そんな感じで私の体感時間では100年くらいの付き合いではありますよ。悪魔にとって100年がどれほどの年月かは分かりませんが。」
「そっか」
「驚かないんですね。カイトは驚いていましたけどね。」
「メイにどんな秘密があっても驚かないわよ。て言うか、カイトに話して私に秘密にしていたの!?まだ何か隠しているんじゃないでしょうね。」
「聞かれなかったから言わなかっただけと答えておきましょう。いくつか話していない事がありますが、別に隠している訳ではないですよ?」
「今ここで話しちゃいなさい。話した方が楽になれるわよ。」
「私取り調べ受けてましたっけ?」
「さあ、キリキリ吐いちゃいなさい。」
「吐くと言ってもカレンが何を知っているのか私が知らないんですよね。」
「心当たりがある事言っていけばいいのよ。」
「私が辺境伯様から色々仕事を請け負っている事は?」
「お父様から聞いたわ。」
「私が悪魔と融合している事とか…」
「さっき自分で言ってたじゃない。」
「…何かありましたっけ?」
「絶対あるでしょ。前世でやり残した事とかは無いの?」
「…あります。」
「どんな事なの?」
「私には妻がいました。その妻は…」
「え、待って。メイの前世の性別聞いてもいい?」
「男でしたけど。」
「…ごめん、ちょっと整理させて…これにはちょっと、いえとても驚いたわ。それで続けて。」
「彼女との生活は半年ほど続きました。でも、ある日彼女は病死しました。私には病気の事を隠していたらしく、私には晴天の霹靂でした。私には分からないんです。なぜ彼女は死の最期を私と過ごしたのか。なぜ、私に病気の事を話さなかったのか。なぜ…私を選んだのか。」
「メイ…それが愛と言ってもあなたには理解出来なかったのね。」
「私には彼女の行動のすべてが分からなかった。魔法が実在すると聞いた時、私はこの疑問を直接彼女から聞こうと考えました。彼女の死が私を魔法の道へと導いたのです。私は人生のほとんどの時間を使いました。でも、無駄でした。前世では時間が経ちすぎていました。でも、この世界には彼女の魂を感じる事が出来ました。彼女が記憶を持っているならその答えを聞きたいのです。もし、覚えていなくても彼女が幸せに生きられているのかを見届けたいと思っています。」
「なら、メイは私の元から去って行ってしまうのね。」
「そうなります。でも、カレンが嫌いだからではないという事は覚えていてください。」
「うん、分かった。」
メイがいなくなるのは寂しいが応援しようと決意するカレンだった。
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