前世で魔法使いだった俺、異世界で美少女になる

375話 宣戦布告

メイは辺境伯に呼ばれて王都に来ていた。

「やあメイ君、久しぶりだね。」

「いきなり呼ぶのやめてもらえますかね。」

「ハハハ、転移の魔法陣で来れるんだからいいじゃないか。それはそうと魔法使って良かったのかい？」

「呼ぶ前に聞いてもらえますかね。あの魔法陣は周囲の魔力を吸収しているので私が使っても大丈夫なんですよ。」

「そういえばそうだったね。」

「それで、何の用で呼んだんですか？」

「ずっと屋敷に閉じこもってばかりだと聞いたからショッピングでもどうかと思ってね。ついでにカレンちゃんへのプレゼントを一緒に探して欲しいんだ。」

「それが本当の目的ですね。」

「まあまあ、いいじゃないか。という訳でレッツゴー」

「ウキウキしすぎでしょう。」

2人でショッピングに繰り出して、プレゼントを見繕っていると、

「メイ君、どうしてずっと剣を背負っているんだい？店主から睨まれてるんだけど。」

「何かあった時ようにずっと持っているようにしてるんですよ。魔法で取り出せませんからね。」

「そうか。それならしょうがないね。」

「これなんかどうです？」

「うーん、私はこっちも良いと思ったんだが…」

「いざとなると困りますね。」

「いっその事全部買うかい？」

「それが1番の解決方ですかね。あまり多いとカレンが困ると思いますけど。」

「そうだなぁ。じゃあ、この2つを買うことにしようか。どっちが喜んでくれるか勝負といこうじゃないか。」

「ふっ、望むところです。」

そう言って店の外に出ると、魔法によって空中に魔族が映し出されていた。

「なんだいあれは？」

「投影魔法ですかね？」

『俺は魔王、魔王ゼブラスだ。俺達魔族は人間共を絶滅させる。手始めに王都を破壊し尽くしてやる。勇者よ、もしこれを見ているなら俺を止めてみろ。無理だと思うがな！ハッハッハ！』

そう言うと魔法は解除された。

「プレゼントとか言って浮かれている場合ではなくなりましたね。」

「宣戦布告か、ヤツらも馬鹿な事をするね。こっちには勇者だけでなく、メイ君が…君なんで今は魔法が使えなくなってるんだよ！」

「私に言わないでくださいよ。逃げる時間くらいなら稼いであげますよ？」

「倒して来てくれよ。」

「無理です。広範囲魔法を使われた瞬間負けますから。」

「宛が外れたよ。」

投影魔法があった場所にいくつかの点が地上から見えた。

「向こうは逃げる時間を与えてはくれないようですね。辺境伯様は速く王城へ、安全面で言えばまだマシなはずです。」

「なるほど、上空から魔法を放つつもりか。君はどうするんだ？」

「戦いますよ。魔法が使えなくてもやれる事はありますから。」