284話 訓練日和

剣姫祭が数日後に控える中、クレソンが修行をつけてくれと言ってきた。

「本当に真剣で良いんですか?」

「実は金を貯めてオーダーメイドで剣を作ったんだよ。それの試運転もあるんだ。それに実戦で木刀使ってるヤツなんていないだろ?」

「なるほど。では、やりましょうか。」

「準備はできてる。胸を借りさせてもらうぜ。」

「どこからでもかかって来なさい。」

「ハア!」

クレソンは正面から飛び込み、突きの連撃を放つ。

メイは自分に当たる攻撃だけ弾き、カウンターで剣を振り上げる。

「フッ!」

「うお!」

クレソンは意識していなかった下からの攻撃に体勢を崩し、大きく飛び退く。

だが、クレソンが着地した瞬間にはメイは目の前に迫っており、立て直す時間を与えない。

守勢に回ったクレソンは徐々に押し込まれていき、あっけなく敗北した。



「ふー、イイ汗かきましたね。」

「俺は疲労困憊だぜ…」

「良い剣を手に入れましたね。」

「そうだろ?素材も俺が集めた相棒なんだ。」

「不壊の魔剣とは、渋いですね。」

「師匠の真似してみたんだ。やっぱり堅実な方が良いだろ?」

「ええ、そうですね。それにクレソンは乱暴に扱いそうですし、ちょうどいいのかもしれませんね。」

「ヒドイなぁ。そんなことしねえよ。」

「あー!何やってんのよ!」

「ん?ミナじゃないかそれにフラスとアンも、どうしたんだ?」

「どうしたじゃないわよ。1人だけ師匠に訓練をしてもらってたのね!」

「お前らは自分達でやるって言ってただろうが。」

「師匠に訓練してもらうなら話は別よ。」

「そうです。師匠は私たちのいたらない点を理解させてくれますからね。」

「それなら勝手に頼めばいいだろ。俺は既にやった後だからどうぞご自由に。」

「アンタいちいちムカつくわねぇ。」

「知らんがな。」

「師匠、私たちも訓練をしてもらえますか?」

「ええ、私でも良ければ胸を貸しますよ。」

「やった」


「師匠との訓練はどうだった?」

「ボコボコにやられたよ。ただ、師匠は弱点を徹底的に攻めてくるから師匠が一気に攻めて来たところが今の俺の改善点だ。」

「師匠はそれを一目見て分かるんだからすごいよ。」

「まったくだ。意識の隙間を縫うような攻撃をしてきた時もあったよな。」

「あー、あったね。ヌルッと懐まで入ってくるんだ。そして鳩尾みぞおちに肘打ちだったね。」

「俺の場合はよっぽど酷かったのか、グーパンだった。」

「師匠のパンチは痛い…」

「俺の反射が避けようとするから効果があるんだと思われてさ。できるまで殴られ続けたな。」

「ドンマイ」

「剣姫祭じゃどれだけ師匠に喰らいつけるかだな。」

「頑張れよ。応援してる。」

「ありがとな。」

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