268話 Ver.VII.Ⅱ
「キミも酷い事をするねえ。あんなに良い子を壊させるなんて。」
「良いデータが取れました。ナナには感謝しなければいけませんね。」
メイはナナの頭部にあるプラグからデータを抜き出す。
「さて、ようやく無能な衛兵が動き出したようですし、後は頼みましたよ。」
「ハイハイ、キミも頼んだよ。」
「ええ、分かっています。」
メイが去っていった後、衛兵団が到着した。
「何だこれは!周辺の状況を確認しろ!」
「この男がやったのでしょうか?」
「これはどうすればこんなにも筋肉が肥大化するのだ?」
「男の所持品からこんなものが出ました。」
「これは薬か。薬物を使用してこんな事になったのか。」
「ですが、この男を殺したのは誰でしょうか。」
「この傷跡は魔力による斬撃だな。魔力の刃を使用したか、魔法か、どちらだろうな。この破壊跡だ。相手も相当のダメージを負っているはずだ。非常線をはれ。怪しいヤツは全員捕らえろ。」
「隊長!コッチに来てください!」
「何があった。」
「これはゴーレムでしょうか。」
「見た目は人間に見えるが、内蔵されている魔法陣や回路から見るに義手などを付けた人間ではなく、ゴーレムか。」
「このゴーレムとあの男が戦ったのでしょうか。」
「状況から見てそうだろうな。男は右肩から左脇腹までを斬られ、ゴーレムは右腕を千切られ、腹を潰されている。」
「周辺の状況を確認してきました。周辺の住民は戦闘が始まったと同時に避難を開始したらしく、周りには誰もいませんでしたが、1ヶ所血痕を確認しました。」
「状況が分からんな。A班は聞き込みで時系列を洗いだせ。遺体とゴーレムの収容はB班に任せる。C班は学園に行き教授に話を聞け。」
『了解!』
「メイくんはノロマだって言ってたけど、以外にテキパキ動くね。というか、ナナの顔を変えさせるなら最初から変えればいいのに。僕の苦労も考えて欲しいよね。さて、僕も帰るとしようか。」
ニコラスはそのまま研究室に帰った。
「ただいまー」
「おかえりなサイ」
「ホントに仕事が早いな、メイくんは。」
「マスターは最初から元の身体を破棄し、今の身体に移行させるつもりだったようなので、元々身体を造っていたんデス。」
「スゴいねぇ。ちょっと大きくなったかい?」
「ハイ、ワタシの身体はマスターがモデルなので、マスターに合わせて造られます。その結果、内蔵できる人工筋肉や、魔法陣なども増えたので、能力が向上しまシタ。コレでさっきの不審者にも負けまセンよ。言うなれば、Ver.VII.IIになったと言うことデス!」
「おお〜スゴいぞ!」
「エッヘン、デス。」
「まあ、廃棄予定とは言え、戦闘データをとるために敵対組織に襲わせるメイくんもどうかと思うんだけどね。」
「どんな情報を流したんでショウか?」
「彼女のみぞ知るってヤツか。」
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