季節SS バレンタイン編

「今日はバレンタインね。」

(そんな非リアが泣きそうな風習ここにもあったんだ…)

ちなみに前世のメイは泣いている側だった。泣いてはないが。

「何か言った?」

「いえ、何も。」

「今年はお父様にどんなチョコをあげようかしら。買ってもいいんだけど、それだとお父様にバレちゃうからダメなのよね。去年はそれでサプライズできなかったのよ。」

「そんなことがあったんですね。」

「この時期はずっとメイはいなかったからなんだか新鮮だわ。」

「チョコの準備はしてるんですか?」

「ううん、まだよ。」

「じゃあどうするんですか。こういうのって前日までに準備するのでは?」

「しょうがないじゃない。チョコの入荷は今日だって言われたんだから。」

「出遅れちゃったんですね。」

「そうなの。だからメイにも手伝ってもらおうかと思ってね。」

「なるほど、では私の実験室に行きましょうか。そこなら色々機材もありますよ。」

「実験室?何それ?」

「辺境伯様に頼んで作ってもらいました。チョコを手作りするために使うとは思っていませんでしたが…こっちです。」



「地下にあるのね。秘密の地下室って無性にワクワクするわね。」

「スペースが無かったから地下に作ったんですよ?」

「分かってるわよ。思ったより広いわね。」

「空間を少し弄って拡げました。」

「あ、これドールズじゃない。いつもここに保管してるのね。そしてコッチは完成する前の身体ね。複雑すぎて全然分からないわね。」

「専門的な知識が無いと分かりませんよ。高等部に入れば授業で扱うんじゃないですかね?」

「なんで高等部の内容を知ってるのよ。」

「図書館で読みました。」

本当は前世でその理論を構築したのがメイであるのというだけだ。

「よく理解できたわね。」

「私にかかればおちゃのこさいさいですよ。」

「言葉選びが古いわよ。」

「ん゛ん゛!それはともかく、これが機材です。チョコを溶かすモノと冷やすモノですね。」

「じゃあチャチャッと作っちゃうわよ。」




「できたわ!これはお父様の分でしょ、これは使用人や兵士達の分ね。」

「色々作ってると思ったらみんなにあげるんですね。」

「そうよ。あとこっちのは学園に持って行く分だからラッピングしないとね。」

「良いですね。私もいくつかラッピングします。」


その後、屋敷の人達にチョコを配り歩いたが、街には一定数血の涙を流す男たちがいたという…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


なお作者も涙を流しています。こんな風習無くなってしまえ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る