119話 すご腕の教官
今日は試験の二日目、実技試験の日だ。
昨日と同じく学園の門付近でアリュールを待っていた。
「二人とも早いね?」
「アリュール、おはよう。」
カレンが手を振り、挨拶する。
「今日は昨日よりも人が少ない気がするわ。」
「き、聞いた話だけど、筆記試験が上手くいかなかった人が実技試験を受ける前に帰ってしまうみたい。」
「なんだかもったいないわね。でも、ライバルが減ったと考えればラッキーね。」
試験は観客席のある大きな演習場で行うらしい。
「広いわね。どうしてこんなに広いのかしら?」
「知らないの?剣姫祭みたいな催しをここで行うからだよ。」
「剣姫祭って?」
「剣姫祭は学生のバトルトーナメントのことだよ。学生同士が戦っていい成績を残せばいい職場から声がかかるかもっていうヤツだよ?」
「アリュールは詳しいわね。誰に聞いたの?」
「私の実家はここから近いから催しがあると来てたんだ。」
「そうなのね。あれ?メイは?」
話に夢中だったせいでいつの間にかメイがいなくなっていたことにようやく気づいた。
辺りを見回すとメイが男の子と話していた。
「あれ誰だろう?カレンちゃんは知ってる?」
「どこかで見たような気がするわね。えーと、どこで見たんだっけ?」
そうしているとメイが二人に気づいて話していた相手を連れてきた。
「カレン、覚えていますか?」
「今思い出してるところ。」
「覚えてないのも無理はないっスよ。カレン様とはあんま接点なかったからな〜。」
「あ、思い出した!クレソンね!」
「お!覚えていただけたとは光栄ッス。こちらは?」
「昨日仲良くなったアリュールよ。アリュール、こっちはクレソンよ。久しぶりに会ったから分からなかったけどね。」
「クレソンッス。よろしく、師匠の一番弟子、いや二番弟子か?」
「師匠って言うのは?」
「師匠はメイさんッス。上下関係叩き込まれたからもう逆らえないッス。」
「メイちゃん師匠なんだ。すごいね。」
「メイとは何話してたの?」
「宿題についてッス。師匠の基準はズレてる所があるから怖いッスけど、いけないこともないッス。そんな話してる間に始まったみたいッス。」
クレソンが指さした方を見れば、舞台の上で試験官と剣を交わしている姿が見えた。
それから数人の試験が終わると、
「次は俺の番ッスね。俺が成長したところ、見てろよ師匠。」
クレソンは舞台の上に上がり、試験官と激戦を繰り広げた。
「負けた〜。あともうちょっとってところで全部覆されるんスよ。どういうことッスか!?」
「あなたを圧倒できる力量を持っていたということは?」
「あれ?二人は?」
「魔法と剣術のどちらかを選べるらしいので魔法の方に行きました。」
「そうなんスね。師匠はいつなんスか?」
「もうそろそろなのですが、出番みたいです。」
舞台の上に上がり、試験官を見据える。
彼は基本的に攻撃しない。隙ができた時だけ攻撃するようだ。
ということは隙を見せなければ防御は考えなくてもいいということだ。
楽勝じゃないか。
私がほくそ笑むと同時に試験官もニヤリと笑い、
「試験を始める。かかってこい。」
と言った。
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