104話 黒の刃

「何か証拠になりそうなものあった?」

「そうだな。これを見てみろ。」

「何これ?」

「襲撃犯の名前が載ってる。ここを調べれば、詳しいことが分かると思わないか?」

「この【黒の刃】って名前、有名な暗殺者集団の名前じゃない。」

「ヤバそうだが、俺たちのせいでコイツらはガタガタだ。心配はいらない。」

「油断してたら痛い目見るわよ。」

「油断なんかしないさ。俺はプロだぜ?」

「でも、どうやって接触する気?」

「ある酒場で裏メニューを頼むとコンタクトが取れるんだ。そして、ノコノコとやって来たヤツから聞き出せばいい。」

「そんなに上手くいくかしら?」

「やるしかないんだよ。唯一手に入れた手掛かりがそれなんだから。」


その夜

「マスター、ポップオフって酒をくれ。」

「ガキが冗談で頼むような酒じゃねえ。」

「俺は本気だ。金ならある。黒に染まる覚悟もな。」

「いいだろう。明日の朝、この場所に行け。」

そう言うとマスターは紙切れを渡してきた。

「恩に着る、マスター。」

「これがポップオフだ。これを飲んだらさっさと帰れ、子供は寝る時間だ。」

「うっせえ、子供扱いするんじゃねえよ。」


「あれが合言葉なの?」

「ああ、酒の名前を出してから黒に染まる覚悟があるって言うんだ。」

「黒に染まるって何?」

「黒の刃の黒に掛けてんじゃねえか?他には犯罪者になる覚悟もあるって意味なんじゃないかな?」

「ふーん。男ってそういうの好きよね。」

「合言葉とかってワクワクしないか?」

「別に。」

「そうか…。」

「露骨に落ち込まないでよ。私が悪いみたいじゃない。それで?明日はどうするの?」

「明日はサキに近くで待機していて欲しいんだ。何かあった時の保険のために。」

「分かったわ。」

「サキは俺の合図があるまで動かないでくれ。」

「何考えてるか知らないけど、死んだら承知しないわよ。」

「心得てるさ。」


翌朝

一人の男が前から歩いてきた。

『隠れてい様子を窺っている人間は5人いるわ。』

男と合言葉を言い合う。

「おはよう、今日はいい日になりそうだ。」

「おはよう、今日はいい日になりそうにないぜ。」

「…お前が依頼人か。」

「そういうアンタは暗殺者に見えないな。」

「俺は仲介人だ、俺が仕事をする訳じゃない。」

「俺は自分の目でしか物事を判断しないタチでね。俺の仕事を請け負うヤツをこの目で見たいんだ。」

「スマンがそれはできない。これはルールでね。ルールを破ると俺もお前も殺されちまう。」

「そうか。それは残念だ。」

そういうや否や男に一撃を入れて昏倒させる。

仲介人を昏倒させたことで、こちらを監視していたヤツらは一斉に逃げ出す。この場のことを伝えるつもりだろう。

だか、この場に来た時点で俺たちの罠にハマっている。

監視者たちは逃げようとしたが、俺とサキ、仕掛けた罠にハマり誰一人として逃げ切ることはできなかった。

「案外あっさりと捕まえられたな。」

「そうね。戦闘力ではなく、隠密能力が高いのかしら?」

「そうだな。さて、何から聞こうか…ん?文字数的に巻でって、何言ってんだよ。これからじゃねえか。そんなの関係ない?そんなこと言われてもな。」

「誰と話してるのよ。」

「うーん。次回に続く!」

「雑か!」

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