最高の荷物持ち、追放されたので旅に出る〜無類のスキル〈ご都合主義〉で成り上がらせてやったのに、恩義を忘れたてめえらなんてもう知らねえ〜
@サブまる
第1話
ギルドの酒場。
「いやあ、あっという間にLv7になっちゃってよ〜。冒険者家業も楽なもんだな〜」
「お金がいっぱい……これで魔王倒せばもうあとはのんびり気ままな豪遊生活ですわあ!!」
冒険者、と呼ばれる
だが、魔王討伐という大義名分によって、軽犯罪や暴行などの罰則が一部免除されている。
でなきゃ、戦ったら戦っただけ強くなりまくる、こんな頭のイカれた連中を野放しにするわけないだろ。
「はしたないですわよ。もっとここらのトップらしく振る舞うべきですわ」
一丁前に、難しい言葉を使ってるが、箸は横じゃなくて縦に割るんだぞ、馬鹿者。
俺は、数ヶ月前からこのパーティーの荷物持ちをしていた。
俺は別に病気ではない。誰にも言っていないが、唯一無二のスキルを持ったただの一般人だ。
最底辺パーティーだったこいつらを、俺のスキルで、ラノベなら感動しまくりの怒涛のストーリー展開で成り上がらせてやったのだ。
「つかよ、お前、いらなくね? 誰にでもできるただの荷物持ちだろ?」
「てめえおい! 今なんつった!」
その誰でもできる荷物運びをできないお前らのケツフキを、誰がやってたと思ってんだ! てめえら整理整頓すらできねえだろうが!
「はしたないですわ! 食事中は静かに!」
「てめえもさっきから違和感ねえのかよ! 箸は横じゃなくて縦に割れっつってんだろ!」
「お金の前で、うるさーい!」
「お前は欲望に忠実なだけだから許してやる。で、てめえ今なんつった。誰にでもできる荷物持ちだと?!」
ダン!!
「ああ、言ったがなんだよ。お前が俺に勝てんのかよ」
「やるかクソが。後悔させてやるよ」
ボコボコボコボコボコボコ!!
圧倒的だった。
ステータス病の連中には、レベルという概念が存在するらしい。徐々に強くなっていき、レベルアップでまるで別人のように一気に覚醒するのだ。
そんなバカな話があるかと、最初はそう思っていた。
こいつらがレベルアップする瞬間を見るまでは。
つか、こいつまじつええ!!
床との接地面の増えた俺は、したから憎しみを込めて睨んでいた。
荷物持ちしてやってたんだから、ここまでバカみたいに殴らんでもいいだろう! との思いを込めて。
「ふん、口ほどにもないやつだな。お前もういらねーわ。新しいやつ見つけようぜ」
こうして俺は追放された。
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