第3話

船がついた桟橋は、長い砂浜の上に作られていた。

船を降り、歩いて洋館に向かう。

途中で俺は黒服に聞いた。

「ほかの参加者は? 全員で八人いるはずだが」

「一人ずつ案内させてもらっています」

船に乗る時もそうだった。

八人いるはずの参加者たち。

俺を除けば七人だが、俺はまだ誰とも顔を合わせていない。

このままずっと会わないままなのかと、普通に考えればありえないことを思い浮かべているうちに、お屋敷の前に着いた。

一目見た時から気づいてはいたが、正面玄関の扉がかなりでかい。

高さも幅もそうとうある。

観音開きのようだが、開けたらバスや大型トラックも楽々通れそうだ。

しかしこんな扉、どうやって開けるのだろうと思っていたら、黒服が言った。

「普段はそちらから出入りしていただきます」

見ると右側の扉の一部が、普通よりも少し大きい程度の扉になっていた。

黒服に促されて取っ手を取り、扉を開けて中に入った。

玄関を入ると中は広いホールとなっていた。

中央に見たことがないほどの幅広の階段がある。

屋敷の真ん中はホールと階段、そして階段の先にある左右に伸びる廊下だけだ。

見れば中央ホールの左右の壁、一階にも二階にも扉がある。

二階の左右に分かれた廊下は直角に曲がり、その扉の前まで伸びていた。

どうやら左右の壁の向こうが住居スペースのようだ。

「まずはこちらです」

左に案内された。

扉を開けると食堂があり、そこには二人掛けのテーブルが四つあった。

椅子は全部で八つ。

やはり参加者は八人のようだ。

食堂の奥にはいかにも値がはりそうなシステムキッチンがある。

しかしよく見てみるとシステムキッチンには不可欠な冷蔵庫がない。

「食料はこちらです」

食堂の奥にある扉に案内された。

開けるとそこは廊下。

そして三つの扉が廊下の右側に見えた。

黒服が最初の扉を開けると、そこはバカでかい冷凍庫だった。

冷凍食品をはじめ様々な食料品が冷凍されている。

八人で食べたら数か月は持ちそうな量の食材がそこにはあった。

次の扉は冷蔵庫だった。

あるとあらゆる飲料水のペットボトルが冷やされている。

ざっと数えたが、千ではきかない数がありそうだ。

今は夏だからちょうどいい。

そして最後の扉は一言でいえばお菓子だ。

ビスケット、スナック、飴など日持ちのする菓子類が山積みになっている。

その辺のコンビニではとても太刀打ちのできない量だ。

黒服が言った。

「以上が飲食品の貯蔵庫です。自由に飲食してください」

そして案内されたのがホールを横切った反対側の扉だ。

開けると廊下があり、そこには左右に四つづつ、つまり八つの扉が見えた。

それぞれの扉には番号が書かれている。

「ここが居住空間です。ポンチさんは七番の部屋ですね」

部屋に入ると手前にトイレ、浴槽。台所。

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