七の話

森 真尋

七は無限の可能性を秘めている


 七は、無限の可能性を秘めています。



 空に架かる虹が何色から成るのか、あなたは知っていますか。その色の数を答えられますか。


「赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の七色」

「虹の色は虹色だよ」

「虹は太陽光の分散であり、これは連続スペクトルだから、色の数は無限だね。主虹とか副虹とか、あるいはフラウンホーファー線のような難しい話は抜きにしても、これくらいは常識さ。まあ、可視光線や分解能を考えれば、認識できる色の数は限られてくるだろうけれど」


 時代や文化、また観測者によって、虹に見られる色の数に差異はあれど、現代の日本において多数を占める答えは、一つ目の解答のように七色ではないでしょうか。

 二つ目の解答はさておき、三つ目の解答に理解を示す人も少なくないでしょう。そして、そういった人は、虹を七色とする考えを誤りだと思っているかもしれません。私もその一人でした。

 しかし、虹は七色なのです。


 七は、無限の可能性を秘めています。



 虹の話ではありませんが、七色という言葉は声を修飾するように、多様という意味を持つことがあります。声優やモノマネ芸人など、変幻自在に声色を操る人は「七色の声を持つ」と称されますよね。



 七は、無限の可能性を秘めているのです。



 親の七光りという言葉があります。諺の「親の光は七光り」が縮まったものですが、これは、権力を有する親を持つと様々な恩恵を受けられることを意味します。

 ここでも、七は多様なことを表しています。


 つまり、七は無限の可能性を秘めているのです。



 七転び八起きは、何度転がっても、何度でも起き上がることを意味します。

 七転八倒は、何度も転び何度も倒れるように苦しみ回ることを意味します。


 七という言葉には、七つという数の他に、多くの数という意味があるのです。八という言葉も同様ですが。


 そう、七は無限の可能性を秘めているのです。



 春の七種や秋の七草は、七種類に拘る必要はないのではありませんか。

 七味唐辛子も、原材料に八種類以上の記載があっても良いではありませんか。

 七不思議だって七つに限らずとも、それはそれで不思議なので問題ありません。

 七福神も、八柱や九柱いればもっとありがたいとは思いませんか。神が八百万いるのに、そのうち福の神が七柱しかいないとは考えられません。


 七色の虹が、無数の色の光を含んでいるのですから。



 七は、無限の可能性を秘めています。




 これから、私、沢山七さわやまななが、無限の可能性を秘めるについて、沢山たくさん語ろうと思います。


 ちなみに、そのとは私のことではありません。何度も、七度も、それこそ沢山たくさんを「無限の可能性を秘める」と称しましたが、自画自賛ではありません。一人称が「なな」の私が偉そうに話しているようにも思われるかもしれませんが、決してそうではないのです。

 しかし、私にも、無限の可能性が秘められてはいないものでしょうか。

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七の話 森 真尋 @Kya_Tree

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