八神姫と白うさぎ
高麗楼*鶏林書笈
第1話
「あら、うさちゃん久しぶりね」
屋敷を訪ねて来た白ウサギを八神姫は嬉しそうに迎えた。
「その間、姫さまは如何お過ごしでしたか」
「特に変わったことはないわ。あなたは?」
「実は先日の台風で隠岐島に流されてしまって‥」
「それは大変だったわね」
「ワニザメを騙して因幡の地には戻れたのですが酷い目に遭いました」
「皮を毟られたのでしょう」
姫が笑いながら言うとウサギは
「よくご存知で」
と苦笑しながら話を続ける。
「ちょうどその時、通りがかった姫さまに求婚しに行く神さまたちに助けを求めたところ“海水で身体を洗って高い山の上に寝そべって風にあたれば良い”と言われたのでその通りにしたのですが…」
「そんなことしたら、余計悪くなるじゃない」
「ええ、皮を毟られた跡がヒリヒリして‥。半ベソ掻いていたところ神さまたちの後をついて来た大国主さまが近づいてきて“これは大変だ、早く川に行って真水で身体を洗って蒲の穂で拭きなさい”とおっしゃったのです。その通りにしたら御覧のように元に戻りました」
「よかったわね。それにしても意地悪な神さまもいるものね」
「全くその通りです」
「そんな神さまとは結婚したくないわね」
「はい、大国主さまのような親切で優しい方がいいですよ」
白ウサギの話を聞いて八神姫は大国主との結婚を心に決めるのだった。
八神姫と白うさぎ 高麗楼*鶏林書笈 @keirin_syokyu
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