第31話 結婚指輪
「「「ただいま」」」
「おぉおかえり」
奥さんが出迎えてくれると、もう既にいい匂いが玄関まで届いていた。こういうのもいいなとふと思った。
早速晩御飯を食べる。
「「「「いただきまーす」」」」
こうして何もせず食事が出てくるのを考えてると、実家にいる時を思い出した。でもまぁここも実家になるわけか?そう考えた時、ドウェインに睨まれた気がする。
「そういえばドワーフのみんながフォローしてくれたお陰でステータスが見れる様になったんだ!」
「よかったじゃん! でどうだったの? 私よりも上ってことはないよね? だって私重戦士だよ!」
すっかりジョブに関しては悩んでなさそうで安心したが、うーん本当の事を言っていいものか?
「もっもしかしてまた……?」
「あぁ、まっまぁ俺は
「なになに!?」
「防御力」
「それはドワルフがロクな装備してないからじゃん……。くやしいいー! 私せっかく鍛冶師を捨ててまで重戦士になったのに!」
別に自分の意思で捨てた訳じゃないだろうに。
「えぇードーコあんた! 鍛冶師を捨てたのかい!?」
そういえば奥さんはまだ知らなかったな。
「なんかね水晶がピカって光って勝手にメインジョブ重戦士のサブジョブなしになったんだよー。でもでもドワルフのおかげで【ドワーフの神の眷属】ってユニークスキルを獲得したからちゃんと鍛冶も出来るんだよ!」
「そうなのかい?まぁドーコの生き甲斐が失われなくて何よりだよ私は。それにしても【ドワーフの神の眷属】ねぇ。聞いたこともないよあんたは何か知ってたりするかい」
そう言って奥さんがドウェインに話を振る
「ワシも聞いたことがないのー。そもそも【ドワーフの神】事態、御伽噺でしか聞いたことがないユニークスキルじゃしな。結婚でもすれば眷属というのも納得できるが」
ちょっと待て、これ以上話を煮詰めるとまずいことになる気がする。眷属になった理由なんて1つしか思い当たらない。俺は咄嗟にドーコにアイコンタクトを送り話の流れを変える様に頼んだ。
「そっそういえばパパ! オリハルコンなんてやり過ぎだよ! どうしてそこまで私の結婚に反対するの!」
「ドワーフの長は代々男が務めてきたんじゃ。ということは次の代の長は必然的にドーコの婚約者となるわけじゃ。だからこれはドーコ、お前との結婚だけで無くこの村の次期長を決めるものでもあるのじゃ」
「へぇーそうだったんだパパもしっかり考えてたんだね」
ほうただ意地悪をしたかっただけじゃないんだな。てっきり俺は一人娘可愛さに無理難題を投げつけてくる意地悪爺さんかと思っていたが考えを改めよう。
「そんなこと言ってあんたここで酔っ払う度にドーコって嘆いて誰にもやらーんって叫んでるじゃないかい」
前言撤回やっぱり腹黒だ。
「じゃあ俺は明日早く起きてオリハルコンに挑戦するから、ごちそうさまでした」
「おいワシの武勇伝を聞かせてやろうと思ったのに」
「はいはいあんたの話は宴会まで取っておきな。おやすみ」
「おやすみードワルフ」
家族水入らずの話もあるだろうし水浴びして自室で1人考えるとするか。
ふぅー水浴びは冷たいなー。俺が早く炎魔術を覚えて湯沸かしマジックアイテムでも作れればなーっていうかそんな大変な事をしなくても水を沸かせばいいのか。すっかり考えが異世界に適応し始めている。
ふと夜空を見上げる。今日は満月か。あの熊は強かったなぁ。そういえばとポケットに入れっぱなしの結晶を取り出す。こういうものは強い魔物からは大きな結晶と相場が決まってそうなものだがこれは2cm代の大きさだった。月明かりに照らされてとても綺麗に反射している。
その時大事な事を忘れていることに気がついた。やばい指輪を用意してなかった。こっちの世界でもそう言った文化があるのか分からないが渡さないと俺の気が済まない。ちょうど今手には指輪にピッタリの結晶がある。これを綺麗にカットしてオリハルコンをちょっと拝借してリングを作ればいいかな。
でもちょっと待てよ。指輪なんかドワーフがはめても作業の邪魔じゃないか?そうだネックレスにつけられる様にすれば問題ないだろう。月の光に照らされた結晶にドーコへの思いを込める。
「いつまで水浴びしてるのドワルフ?」
ドーコの声を聞いて慌てて結晶を隠す。
「水浴びを除くもんじゃないぞドーコ」
「いいじゃんか一回全身見てる訳だし!」
「シッーー! お父さんにバレたら間違いなく面倒になるんだからその事は当分秘密で」
「ハハハッそれもそうだね! それにしてもこんなに長く何をしてたの?」
「もういいから早くリビングに行っておけ。俺もすぐ着替えて戻るから」
「あのピチピチの服に?」
「仕方ないだろ! ドーコの家みたいにエルフがくる準備とか出来てないんだから!」
「明日取りに一旦帰る?」
「いやシュドが明後日には来るんだしそれまで我慢するよ。家に戻るのも効率が悪いしな。ヒューマンの国に行く時によってもらおう」
「うんわかった!じゃあねおやすみ」
チュッと俺にキスをしてさっていくドーコ。くぅ可愛いじゃないか!
明日の構想を練りながら寝室へ向かい眠る。オリハルコンかぁ。誰よりも早く起きてオリハルコンをちょっと拝借して指輪とネックレスも作らなきゃいけないしな。
しかしこんなふうにこっそりしかイチャつけないってのは辛いな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます