【第一章完結！】vtuberに転生するはずが転生先は異世界でした！？〜異世界で仲の悪い異種族を繋いで俺が配信王になってやる〜

第17話 配信初心者

　目をこすりながなら起きる。緊張してうまく眠れなかった。どうやらドーコは、休日だから普段よりゆっくり起きるようだな。1人で2人分の朝ご飯を作る。本当なら卵焼きを作ってこれが日本の卵料理だーなんて言いたかったんだが、恥ずかしい話上手く作れる自信がない。

　まぁ最悪スクランブルエッグにでもすればいいか、と思いクルクルと卵を回す。意外なことに料理店に並んでいてもおかしくないような、綺麗な焼き目のついた卵焼きが出来た。

　確か俺は手先が器用な様にと願ってたら【ドワーフの知恵】が手に入ったんだったな。もしかしたら他のことにも応用が効くのかもしれない。こんなにも上手く料理ができるなら料理配信もありかもしれないな。

　いつもの癖でドーコを起こしに行きそうになったがグッと堪える。

「せっかく完璧な卵焼きが出来たのに……」

　思わず口に出るほどの落胆ぶりだった。

「いただきます」

　1人で卵焼きを食べる。味も美味しいのに1人で食べると何処か味気ない。元の世界だと一人暮らしだったのに。この世界に来てドーコにすぐ会えたことは本当に幸運だったと再確認する。

　とりあえず商人が来るまでになんとか完成させて、商人を驚かせてみたい。その時に配信の宣伝でもすれば視聴者も伸びるかもしれないしな。

　配信をつける『黙々と1人で作業配信』でいっか。うーんもし誰とも出会えてなかったらこんな未来もあり得たんだろうなー。そうしたら【ドワーフの知恵】も発動しなかったしまして【ドワーフの神】にもならなかっただろう。

　そのままヒューマンの国まで行って何をしていたんだろうか。そんな漠然としたことを考えつつ作業を進めていると

〔エマ:今日は1人なのね。振られた？〕

〔ドワルフ:鍛冶場を見ろよ。いつもと一緒だろ。仲良く2人で暮らしてるよ〕

〔エマ:冗談よ冗談。それにしても凄いフルアーマーを作ってるのね。あのマジックアイテムに似てるけどこれもそうなのかしら〕

〔ドワルフ:いやこれはそう言った効果はないっていうかドーコと同じことを言うんだな〕

〔エマ:なんかちょっと心外ね。それにしてもMP切れが1日で治るなんて凄い回復速度ね。〕

〔ドワルフ:いや、昨日の時点で治ってたんだが。ほらこれが途中な理由は昨日から作ってたからだぞ〕

〔エマ:どんなエルフだってMPが切れたら２日は寝込んでいるものなんだけど、もしかして切れてなかったんじゃないかしら？　いえきっとそうよ。〕

　昨日配信に来なかったのは倒れてると思ってたからなのか。

〔ドワルフ:なぁエマ。エマから見てこのフルアーマーどう思う？　売れそうか？　結構な自信作なんだが〕

〔エマ:アーマーなんて着ないエルフにそんな質問されてもねぇ……しかも私はエルフの里からほとんど出た事がないのよ。正直言って分からないわね〕

〔ドワルフ:箱入り娘ってやつか？　それにしてもエルフはアーマーを着ないのか。だとするとどうして俺にエルフの里まで来て欲しいんだ？　ローブとかでも一応作れそうだが、他に出来そうなものなんてなさそうなんだが……もしかして杖か？〕

〔エマ:杖なんてエルフは使わないわよ。そんなものがなくてもエルフにはルーン文字があるからね。あと前にも言ったけど来てもらわないと説明できないわ〕

〔ドワルフ:まぁ言えないなら詳しく聞かないでおく。でもエルフは杖を使わないのか。魔術では必要ないってことになると魔法だと使ったりするのか？〕

〔エマ:そうね魔法は神への祈りから起こすものらしいから媒体がいるみたいよ。全く不便よね〕

　宝石魔術も似たような物じゃないかと思ったが言っても怒られるだけだろうし黙っておこう。そうこう話をしているうちに最後の装飾を施し終わった。

〔ドワルフ:ありがとう。エマのおかげで寂しくなく作業できたよ〕

〔エマ:1人で作業するのが寂しいなら他の配信でも見ればいいのに〕

「あっ」

〔エマ:もしかしてそんな事にも気付いてなかったのかしら。メインジョブ配信者さん。フフッ〕

「どうして俺はそんな簡単なことに気がつかなかったんだ。今まで自分の事ばかりで他に目をやる時間がなかった。あぁなんて俺は愚かなんだー！！！！」

〔エマ:ちょっとそんなに落ち込まなくてもいいじゃない。悪かったわよ〕

「俺は今自分の愚かさに嘆いていているんだ」

　それにしてもどうして俺はそんな単純なことに気がつかなかったのだ。試しに他の配信を検索してみる。意外としっかりとした作りになっていて配信をつけるとカテゴリー別に自動で設定されるらしい。

　今やってる中で1番大手は誰だろうなと検索してみると、やっぱり情報通り冒険配信だった。自分とはカテゴリが違うしだからこいつが8万人集めてても全然悔しくないし！　全く悔しくないし！！　じゃあ今度は作業カテゴリーで検索だ。

　俺しかやってないと思っていたが案外やってるもんだな。だがドワーフはやはり配信をしていないようだった。鍛冶配信をしているのはヒューマンだけだ。

　ライバルが少ないと喜ぶべきか、それともカテゴリーの人気のなさに悲しむべきか。それでもこの人の鍛冶配信は10人も視聴者がいるな。悔しい。

　もう少し時間に余裕が出来るようになったら配信を見漁らなければ！

念のため俺の視聴者はっとマイページと念じる

--------------------------------------------------

名前　ドワルフ

レベル　 24

視聴者数　1

フォロワー　3

メインジョブ　配信者

サブジョブ　なし

スキル　なし

ユニークスキル　【エルフの知恵】　【ドワーフの神】　【ヒューマンの良心】

--------------------------------------------------

　何度目を擦っても1だった。タイトルか！？　タイトルにドワーフって入れてないしせっかくの長所を自分から消してしまっている！

「うるさいなぁ。鍛冶の音でも漏れない様にしてるのにその声で起きちゃったよ」

「それはすまないドーコ。だが俺は嘆かざるを得なかったんだ……」

「まぁ嘆くのは良いけど、あっそういえば朝ご飯のあれ何！？　なんか何重にも卵が巻いてあって美味しかったよ」

「あぁそれは卵焼きって言って俺の世界の料理だ」

「ドワルフって料理もできるんだねー」

「これもきっと【ドワーフの神】のお陰だ」

　意味がわからなそうな顔をしているドーコを傍目に落ち込み続ける俺だった。そんな時ベルが鳴った。