ハルのハナ
@hiro122227
第1話 下らないけど、楽しい日々
入学式を終えて約1ヶ月。俺は特に友達も増やさず、同じ中学だった奴とだけつるみ、未だに高校生になった実感がないままぼけーっと生活している。高校にあがって生活が一気に変わっても困るから、俺は全然今の生活に不満は無いんだけど、今、俺と一緒に帰宅している中学からの友達、宝坂竜介は納得いってないらしい。
「おいおい、いつまで俺たちは陰キャなんだよぉ」
俺も陰キャの部類にカテゴリーされているのはいささか納得いかないが、まあ、友達増えてないし、そう言われてもしょうがないか。
「そりゃ、友達増やそうとしないからだろ」
「いやぁ、そうなんだけどさ、やっぱ慎重にノリとか会わせていかないとさ、取り返しのつかないことになりそうで怖いじゃん!」
竜介は俺の前でこそ自分をさらけ出しているが、まだ、クラスではなりを潜めている。中学のときはそこそこ明るい奴で通ってたけど。
「今、俺と話してる感じで馴れ合いに行けばいいんじゃねぇの?」
「いや、まあ、それもありっちゃありなんだけどね。でも、敢えて今のトレンドにそぐわないクール系で攻めていこうと思うのよ、ボソッと一言で笑い取るみたいなね」
絶対無理なのは竜介の根っからの明るい性格のお陰でわかっているが一応、応援しといてみる。
「おう、頑張って(笑)」
「おーい!おまえ絶対無理だと思ってるだろ!!」
「いや、応援してるって」
「その心が笑ってんだよ!また、おれがキャラ作り失敗するとこ笑うんだろコノヤロー!」
こんな下らない話をしているうちに、気付いたらもう各々の家の近くまで来ていたようだ。
「いやー、明日も学校あんのダリーなー」
「はいはい、ダルいね、そのセリフ今週でもう4回目だね」
「ははは、うっせぇーわ、もうこれ俺の挨拶みたいなもんなんだよ!じゃーな!また明日!」
「おー、じゃーなー、また明日」
こんな感じで俺はいつも通り、今日を終えるのだった。くだらないし、毎日おんなじことの繰り返しだけど、竜介とかと学校生活を送っていることが、「かけがえのないもの」だと思える。中学からずっと俺は充実していた。だから、このときは人に恋をするだとか、そんな感情が芽生えたり、想像することすら、無かった。
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