チェンジエンド 〜最強異世界生活〜

@srannkuboukennsyariku

プロローグ 異世界転移?

 俺は、高校二年生の鈴木 陸。

 訳があってイジメられてしまい、耳が聞こえなくなってしまった。

 だが、そのおかげで運命の出会いをした。

 その出会いとは、異世界転生系の小説だ。

 

 そんな俺は、今日学校がなかった為、本屋に立ち寄ってみた。

 

 家を出て、しばらく漕ぐと本屋が見える。

 客が入っているのを全くと言っていいほど見た事のない古ぼけた本屋だ。

 どうやって店を維持しているのかは、俺の中の七不思議のひとつになるほど。

 だが、ここは意外にも品ぞろえが良い。

 ほかの本屋では見かけない珍しい本も置いてあって、最新刊もこの本屋にはおいてある。

 俺はせっかくの休みなので、最新刊でも買って家でゆっくり読むことに決めた。

 どの本を読むかは、店の中に入ってから決める。

 これが俺流なのだ。


 そうして俺は迷いなく最新刊コーナーに向かった。

 目の前には、たくさんの本が置いてある。

 読みたい本を探すために俺は、上の列の一番左から一番右へ視線を動かした。

 また、次の列の一番左から右へ。


 (なかなか無いな)


 俺のお目当ての小説はなかった。


 と、思ったその時、俺の目には一つの小説が止まった。


(ついに出たか。最新刊!!)


 一年間まったく新刊が出るそぶりも見せなかったのに、ここにきて突然の最新刊。

 これを発見できただけで今日、ここに来た意味があったというものだ。

 この本は、ほかのどの店舗にも置いてなくてネットでどれだけ調べても詳細が分からない幻の本なのだ。

 そして、俺にとっては思い出の本でもある。

 ある日、俺の唯一の友人が俺の前から姿を消した。

 その寂しさを抱えて、日々を送っていたときに出会ったのがこの本だ。

 俺の寂しさを紛らしてくれた恩のある小説でもあり、一番のお気に入り作品でもある。

 この作品は今まで読んだどの小説の中でも、群を抜いて面白いのだ。


(異世界でこの主人公は本当に生きているのではないか?)


 そう、思わせるほどのストーリー性だった。

 はじめはすごく苦労をするのだが、やがて主人公は神と崇められることとなる。

 しかし、決して人を見下す事もなくその世界に日本の様な国を作り上げ平和に暮らしていた。

 こんな世界に入って見たいと、はじめてそう思わせられた作品だったのだ。


(これは今日寝れる気がしないな)


 最新刊に期待を膨らませ、行きとは比較にならない速度で帰った。

 無事家に着き、いつもの場所に自転車をしまう。

 その後、玄関をあけて一直線に部屋に戻り、俺は小説を読みはじめた。

 時間はどんどん経過する。

 陽はすっかり高くなり、そろそろどのご家庭でもお腹のなる音が聞こえる頃だ。

 そんな中怒りに満ちた一人の男が叫んだ。


「ふざけるな!!!!!!!!」


 俺は思わず叫んでしまった。

 なんと期待していた小説の結末が壮絶なバッドエンドだったのだ。

 例えば、漫画やアニメで好きなキャラが死んでしまって、「なんで殺したんだよ!!」なんて思ったりもするだろう。

 だが、この小説の終わり方はそんな展開の比じゃない。

 小説は今まで一巻しか出ていなかったが、それまではごく平和なストーリーだった。

 誰かが死ぬような展開もなく、グロテスクな描写すらない。

 例えるなら「二十一世紀のロボットの最後が、丸眼鏡をかけた主人公を何の前触れもなく、突然ガキ大将が殺してしまう」という終わり方とでも言おう。

 そんな終わり方はあってはならないのだ。

 さらにその本は四分の三が白紙になっていた。


(作者の手抜き? 何故これを売り出そうと思ったんだ??)


 あまりにも不自然な結末に俺は納得がいかなかった。

 伏線も回収されていないし、敵と戦っている時じゃなくて突然殺されてしまう。


(この結末は気に食わないな)


 俺はどうしても納得が出来なかった。

 だが、どれだけ文句を言っても小説の結末が変わることはない。

 俺は諦めて小説を閉じたのだった。

 それから何時間がたっただろう。


 一時間・・・・・・

 二時間・・・・・・

 三時間・・・・・・


 やることが無く、ずっと布団の中に入り携帯をいじったりしながら時間をつぶしていた。


(どうしてあんな結末にしようと思ったんだろう)


 頭の中からあの小説の結末が離れない。

 どれだけ時間をつぶしても納得がいかなかった。

 せっかくの思い出の小説が、駄作なのだと認める事は出来なかった。

 俺はなんとかいい作品に変えたいとそう思ったのだ。


 そして何を思ったのか机に置いてある小説を眺めた。


(よし。書いちゃうか! このままだと納得出来ないし、俺がこの小説の結末を変えてやる!)


 俺は布団の中からムクっと起き上がり机へ向かっていき椅子に座った。

 そして、俺はカバンの中からペンを取り出し小説を開いたのだった。


(んーどうしようかなー)


 ペンをクルクル回しながら考える。

 この物語をどうしようかと。


(まずは、主人公に復活して欲しいけど、突然復活するのはおかしいし......あっ!

 そうだ。主人公を復活させられるぐらい強いキャラを作っちゃえばいいんじゃない!?)


 俺はそう思った。


(とりあえず新キャラを登場させよう。えっと、名前は……)


『ルシア=バシレウス=アイオーン』


(お!!! 超カッコイイじゃん!!)


 好きなキャラと、神の名前から取ったお気に入りの名前だ。

 久しぶりに、ニヤニヤが止まらない。

 もう一度言うが、男の心はいつまでも小学生ぐらいで止まっているのだ。

 ちょっとダサいくらいがカッコイイってものだ。


(よし! じゃあ、このルシアって言う新キャラを転生させて終わり方を変えてしまおう...あれ?)


 急に睡魔が襲ってきた。

 これは抗えるものではないと、すぐ分かった。

 まるで麻酔銃でも撃たれたかの様に。


(なんで……俺……まだ寝たくないの……に……)


 そうして俺は眠りについてしまったのだった。




 そして、この眠りから目を覚ました時、俺の第二の人生、異世界生活が始まるのだった。


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