性別逆転カップル

第1話プロローグ

突発性日間性転換症候群…それは日によって性別が変わる病気である…。

有効な治療法も見つかっておらず発症して10年後に患者は死ぬという致死率100%の極めて珍しい病気だと言われている。

医師はそう書かれたパソコンの画面を見ながらわざと聞き取りにくい声で言った。

「お子さんは…突発性日間性転換症候群…ですね…。」

診察室には小学校中学年くらいの少女とその母親と40代くらいの医師だけだ。

「先生、この子は、ミキは治るんですか！？」

母親がすがるような声で医師に迫る。

「お母様…。」

医師は母親の目を見つめた後、ぽつりぽつりとだけれども気丈な声で言った。

「この病気は治療法が確率されていません。

発症すれば日ごとに性別が変わってゆき、ホルモンの調節が段々と出来なくなります。

お母様…息子さんは長くてもあと10年の命でしょう…。」

「そんな…」

母親は我が子を抱きしめて診察室で泣き崩れる。

守山ミキは元気いっぱいな男の子だった、それがある朝目覚めるといきなり女の子になっていて…。

これは只事ではないと思い病院に連れて行ったらあと10年の命だなんて!!

夢だったら良いのにと何度思ったことだろうか？

わたしはこの子に何をしてあげられるのだろうか？

愛おしい息子があと10年後、たったの19歳で亡くなってしまうだなんて…。