閑話の自省、または三指の残り-2

  閑話の自省、または三指の残り-2


 此処に至って人の言葉を使うのも姑息極まりないが、自前で書き綴るには未だ歳月を必要とするらしい為容赦されたい。


 良い友人である。此処に綴った二万字前後を越える毒に相対して尚其の関係を保ってくれている点から見ても全く得難い。素直な感性で、しかし私を傷付けぬ様に真綿で包む様に丁寧に選んで発された言葉は其れでも折々に胸を刺した。思考の転機になることも稀ではない。


 「本当に死んだと思ってんの?」

 十年を越える話だ、細かな言い回しまで覚えてはいない。話の流れすら記憶が定かではないが、当時の自身の思考は先々迄持ち越す事になった為今日にも鮮明だ。


 「言うまでもなく否」と突き通すには、付随して噴出する疑問が多岐に、また重厚に過ぎた。


 存命で在るなら一言も無く消えた訳が、当時に至るまで便りの一つも無い訳が、「捨てられただけ」としか思い付かない。貧困な想像力を呪う訳でもないが、そうと仮定して、その日まで想い続けた代償にも当ての付けようが無かった。


 結局絞り出せずに終わった答えが後に別の意味を持って立ち塞がるなど予想し得る筈もない。あんま気にすんなよ、してないと思うけど。そもそも読んじゃいねぇか。

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