習作掌編集

明丸 丹一

サンタクロース

エレメンタリィ・スクールの帰り、私はいつものようにお友達とおしゃべりをしていました。

「もうそろそろクリスマスだね」

「そうだねえ」

「そう言えば、クリスマス・プレゼントなにもらうかみんなもう決めた?」

みんなは元気良く、時計!とか、新しい靴!とか、自転車!とか、TVゲーム!とか言いました。

私の番になったので、

「私は、サンタさんまかせにしているの」

と言うと、みんなは一瞬顔を見合わせ、はじめてゴキブリが飛ぶのを見たときのような変な顔をしました。

私はなにかとんでもないことを言ってしまったのかと思って、

「なにか変なこと言った?」

と聞きました。すると、みんなは意地の悪い笑みをうかべて一斉にこう言いました。

「サンタさんはお父さんなんだよ」

 私はびっくりしてしまい、その後の話はろくに聞いていませんでした。サンタさんがお父さんだったなんて。

クリスマス・イブ。枕もとでなにかごそごそと動いた気がして私は眠りから覚めました。部屋をそっと見回すと、くつしたがかけてある柱のところに大きな袋を持っただれかがいました。

(サンタさん・・・?)

そうだ、サンタさんはお父さん。そう思ってよく見てみると、それは確かに私のお父さんでした。私はおもわず声をだしてしまいました。

「お父さんはサンタさんだったの?」

 私がそう聞くと、お父さんは少し驚いたようでしたが、やがてにっこりと微笑みました。

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