JK戦士さきこ
K
JK戦士さきこ
令和の三年も、もうすぐ半分過ぎようとしている・・
西に日は傾き、この町をいつもの夕暮れが包むころ
耳のイヤホンから流行りの音楽を聴きながら一人のJKが改札を出てきた
彼女の名は”さきこ”
正式名称、JDFJK,SAKIKO_001
彼女が声をかけられたのは、同じような夕暮れ時だった
「ちょっといいですか?怪しいものではありません。国の機関の者です」
そう言われ差し出された名刺の肩書に防衛の二文字が見えた
二週間後、彼女の両親は契約をした
親戚には反対する者もいた
だが、何より彼女自身の決意が決め手となった
約束事はいくつもあるが、彼女がこれからの人生を変わらず送ることが出来ることや、特別普段の生活の中に何か制限があるわけでもない
恋愛も自由だ
周囲の友人たちと変わらず歳を重ね、大人になっていくだろう
このことは政府も、防衛機関においても一部の人間しか情報共有を許されていない
国家機密というのは本当にあるものだ
何もなければ、家族には毎月多額の報酬が振り込まれ、
彼女の身の安全は国が一生保証してくれる
とある、地方の山林地帯、聞けば誰もが一度は聞いたことがある有名な山がある所だ
その麓に目立たない、小さな古い小屋のような建物がある
周囲を錆びた鉄の柵が囲み、頼りなく南京錠が一つだけ、その入り口を閉ざしている
ここへ来る道は決して道路と呼べるものではなく、生い茂る木々の緑に阻まれ上空からは屋根さえ見ることは出来ない
そんな小屋の中には何もない
ただ、地下に降りる鉄の階段が口を開けている
階段を降りると狭い廊下が奥へ続き、エレベーターの扉があるのだ
エレベーターを降りると、そこにはまるで中国の兵馬俑のような空間がある
いや、もっと広大なスペースに
何千という”人間”が整然と並んでいる
皆うつむき、頭を前にもたげているが、その姿は全て、
様々な柄の制服を着た女子高生だ
全て同じ髪型、同じ顔、同じ体格、
全て、彼女だ
ここには現在、SAKIKO_16875からSAKIKO_20641までが収容されている
関係者は彼女のことを”JK戦士さきこ”と呼ぶ
SAKIKOの目的は一切明かされていない
いつの日か明らかになることもないだろう
そうであってほしいと思う
確かなのは、事故や不具合などで欠番した26体を除く、
16,849体が
この今も活動しているということだ
あなたがいつも見かける、あの女子高生・・
”さきこ”さんは存命なら、来年五十歳になるはずだという。
JK戦士さきこ K @mk-2K21
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