エピソード10:卒業と就職。当然ヤンキーにロクな未来はない。

定時制3年のとき、付き合っていた暴走族の男が卒業して、とび職になって、私はあっけなく捨てられた。

「俺が人間のクズだから、嫁さんと子供はまともな人間を選びたい」なのだそうだ。

泣いたよ。

こんな私でも初めて泣いた。

他人に自己を全否定されることの悔しさを、若干19でド正面からまともに受け止めた。

ドンと一発、大地震並みの、胸をえぐられるような、頭を割られるような衝撃を頭からつま先まで身体からだ全身で浴びた。

世間知らずでマジで入れ込んでいたから、PTSDみたいになって、そのショックからなかなか立ち直れず、定時制卒業と同時に、父の陶器店に就職し、一時的に社会の荒波から避難する無様ぶざまなかたちになった。

卒業後、自分で就職を決めきれず、親の世話になったのは、私にとっては、まともに街を歩けなくなるくらいみっともない行為だった。

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