第13話

朝、起きると百々花からラインが送られていた。

<千草、来週の月曜日から三日間、合宿しない?>

俺は返信した。

<合宿? 何の?>

百々花からすぐに返信が届く。


<魔法少女の合宿だよ!>

俺は少し躊躇したが、最近バイトばかりで飽き飽きしていたのもあって了承した。

<分かった。行く>

<じゃあ、うちの別荘においでよ>

<別荘?>

<軽井沢にあるんだよ>


俺は、百々花がお嬢様だと知って驚いた。

<ご両親はなんて言ってるの?>

<友達が出来たこと喜んでて、自由に使って良いって>


こうして、俺は月曜日から三日間、百々花の別荘に行くこととなった。


「店長、来週の月曜から三日間、シフト外してもらえますか?」

「いいよ。小野さんにはいつも働いてもらってるからね」

店長は快く休みをくれた。


「千草、どこか行くの?」

菜央が聞いてきた。

百々花の別荘に行くと言ったら、一緒に行きたいと行ってくるかも知れない。

俺は、菜央にはちょっと用事がある、と言葉を濁した。


月曜になった。

俺はボストンバックに着替えとクロを詰め込んで、待ち合わせ場所に駆けていった。

駅前には、荷物を持った百々花が待っていた。

「おはよう、千草」

「おはよう、百々花。今日から三日間お世話になります」

「あはは、まだ挨拶は早いよ」


俺たちは電車に乗って軽井沢に向かった。

「そのかごは何だ?」

俺はかごをのぞき込んだ。

「シロだよ、にゃーん」

猫がしゃべった。


「ああ、見守りの猫か」

俺はちょっと驚いたが、納得した。

「うん」

百々花は笑顔でシロの頬をつついた。


軽井沢に着くと、空気が美味しかった。

「ここから歩いて15分くらいだよ」

「良いところにあるじゃないか」

百々花と歩いて、別荘に向かう。


「あ、あそこのピザおいしいよ。あっちはアイスバインが美味しいお店」

「へー」

しゃべりながら歩いていると、すぐに別荘に着いた。

「ここだよ」

「凄い、豪邸じゃないか!?」


百々花が鍵を開ける。

瀟洒な洋館だ。

家の脇にはベントレーがとまっていた。

「百々花の両親は何の仕事をしてるんだ?」

「二人とも大学教授だよ」


庭もバトミントンが出来るくらいには広かった。

「今の時期はあんまり人も居ないから、魔法の練習も出来るよ」

「そうか」

俺は、百々花の顔を見た。

百々花は不思議そうな表情を浮かべた後、微笑んだ。

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