第4話「夢を探して、変身!ワナビーイエロー」2
翌日、また未来は通り掛かったテニスコートにふと視線を送る
今日は友人の姿は無かった、しかしその友人が今日も大学に来て講義を受けていたのを見かけていたので不思議に思い、テニスコートを念入りに見渡してみたが、やはり彼女の姿は無かった。
体調でも悪かったのだろうか、と未来はテニスコートを後にし、帰宅の為に駅へと向かった。
その道中で先程探していた友人の背中が見えたので未来は小走りで駆け寄り声をかけた
「おっす~、さっきテニスコート覗いたけどいなかったからどうしたのかと思ったよ~。体調悪いの?」
「...まぁ、そんなとこ」
少しの間があり、引きつったような笑顔で返答があった
「どしたの?何かあった?話聞くよ?」
「う、ううん、大丈夫。ごめん。今日は1人で帰りたいから。じゃあ...」
そう言うと彼女は1人で駆けて行った。
友達として追いかけて強引に話を聞くべきなのか、少し悩んだがやはり放ってはおけないと彼女の後を追った。
「むっ、感じるぞ、なかなか大きなアキラメエネルギーを!」
コーカイが未来の友人の前へと降り立ったと同時に未来も彼女へと追い付いた
「さあ!貴様のアキラメエネルギーを利用させてもらおうか!!!」
コーカイが手をかざした、未来の友人が悲鳴をあげ、その体はみるみるうちに黒いエネルギーに包まれそしてアキラメの化身へと変化した
「な、なにこれ...どうなってんの...」
目の前で突然友人が化け物へと変化し、未来は恐怖で後ずさる
「ふん、まずは手始めにそいつを襲い負のエネルギーをいただくとするか!行けぇえ!!」
コーカイの指示を受けアキラメの化身が未来へと襲いかかろうとする、未来は必死に逃げる。しかしこの先には大学がある、そこまで逃げてしまえばキャンパス内にいる多くの人を巻き込んでしまうと未来は曲がり角を曲がり細い路地へ逃げ込み、なるべく人気のない方へ逃げた。
未来の背後にいたアキラメの化身は大きくジャンプしそのまま未来の前方へ着地した。
もうダメだと、未来はその場で膝から崩れ落ちた。
その時、声が聞こえた
(やっぱり私なんて...)
「え?」
どこから聞こえてくるのだろうかと未来は辺りを見回した
(身長も小さいし、パワーもないし、テニスなんてやっても無駄なんだ...)
未来はハッとしてアキラメの化身を見る、これは、彼女の声なのか。
その声をかき消すようにアキラメの化身が唸り声をあげて拳を突き上げる
もうダメだ、と諦めかけたその時、突然何かがアキラメの化身の頭に直撃し、アキラメの化身がよろけた
「間一髪だったみたいだね!」
美瑠が未来の前に降り立った
「え、今度は何!?」
「いいから逃げて、早く!」
美瑠が手を差し出し未来を立ち上がらせる
「明日乃が来る前に片付けたいけど...」
「いやいや、明日乃に頼ってもいいんじゃない?仲間なんだから」
突然目の前に現れた特撮ヒーロのような姿をした女性が大きな怪物に向かって攻撃を繰り返している
おおよそ現実とは思えないその光景に未来は逃げる事を忘れてただ立ち尽くした。
「すまない美瑠!少し遅くなった!」
どこからか聞こえてきた声と共にもう1人似た姿の女性が現れた
明日乃は2人が戦う姿を呆然と眺めていたが、攻撃を受けるアキラメの化身に友人の姿が重なった
「ま、待ってください!」
未来が叫んだ
2人は攻撃を止め彼女の方へ振り返った
「あ、あの、その子は私の友達なんです!だから...」
体を震わせて声を張り上げるその姿は、ついこの前の自分のようだと、明日乃は優しい口調で彼女へ答えた
「大丈夫だよ、私達が友人を元に戻すから」
明日乃の言葉と同時に美瑠は未来に向かって手を突き出して任せろと言わんばかりに親指を立る
未来は深く頭を下げた。
「ねぇ美瑠、この状況すごくデジャブを感じるね」
「え?」
「もしかしたら彼女も...なんてね」
「試す?」
「それは気が引けるよ、彼女の覚醒を待つ前に早く友達を助けてあげよう」
明日乃が武器のツインソードを召喚し構えた。美瑠も思い出したかのようにソードを召喚し明日乃と同様に構え、2人同時にアキラメの化身に斬りかかった。
「おぉ!やっぱり2人が力を合わせると奴等にも遅れをとらないぞ!いけいけ~!」
「ヒェッ!今度はイタチが喋った!?」
2人の攻撃にアキラメの化身はなす術もなくかなり消耗している様子だった
「美瑠!」
「うん!」
そして2人で同時に力の限りアキラメの化身を斬り付けた
アキラメの化身は弱々しい声をあげると徐々にその姿が薄れ、やがて1人の女の子の姿に戻った
未来が急いで彼女の元へ向かい抱き抱えた
目は閉じているが呼吸はある
未来は安堵の溜め息をついた
「貴様らぁ...今日という今日はもう許さんぞ!!俺が直接相手だぁああ!!!」
コーカイが激昂した様子で叫ぶと、その体から強いオーラが発生し、あまりのエネルギーに思わず美瑠と明日乃は後ずさった
「覚悟しろよ、虫ケラ共」
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