バレンタインウォーズ
しんと静まり返った放課後の体育館で、あるひとりの熱血教師が女子高生たちに向かってこう叫んだ。
「おいっ、おまえたち! 夕べ徹夜で目をこすりながら108個も本命チョコを作っておきながら、それがなんで108対0という無様な結果になるんだ! 性格さえよければ一個くらいもらってくれたはずだ! おまえたちはゼロか! ゼロな人間なのか! よく考えてみろ! アイドルと男たちからチヤホヤされる女子高生たちだって、見てくれは確かに大差はあるが――おまえたちと同じ背たけ、体重、頭のなかで考えることはそうかわらんだろう! 誰ひとり男子生徒がもらってくれないなんて――それでも、女かぁ! 悔しくないのかっ!!」
「はい、悔しいです!」
「あたしも悔しいです……いつもガングロ化粧ばっかして平気な顔で笑って誤魔化してたけど……いまは……いまは悔しいです!」
「あたいも悔しいです!」
「悔しいィ、悔しいよォ!」
「わだすも!」
「わも!」
「悔しいというだけなら誰だってできる――それで、おまえたちはどうしたいんだ?」
「誰かに、この本命チョコをもらって欲しいですっ!」
「よおぉーし、よくいった――おれがそのチョコを全部もらってやる!」
「せんせい!」
「だが、おれは今からおまえたちを、一人ずつ嬲る!」
「えっ」
澤瀧健児は、無類の、ブスフェチであった……。
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