③新たな仲間『悪役令嬢』第三部・第一章ラスト
甲冑騎士を吹っ飛ばしたレイジョーは、クケ子の前まで来ると顔を赤らめて言った。
「やっと会えた……あなたに使ってもらえるために肉体を鍛え続けてきました……あたしの体を好きなように使ってください」
クケ子は突然現れた、体と顔がアンバランスな筋肉美少女に首をかしげる。
「あなた、誰?」
「アクヤク・レイジョーです、見てくださいこの肉体美」
ボディビルダーのように、ポージングをしているレイジョーにクケ子が訊ねる。
「えっ!? 悪役令嬢? 乙女ゲームかなにかの?」
「ちがいます、姓がアクヤクで名がレイジョーです。両親がアチの世界のそういうのにハマってしまって、本来の意味もわからないまま勢いだけで、アクヤク・レイジョーと……この肉体を思う存分使ってください、旅のお役に立ちますから、一緒に連れて行ってください」
「いや、そういう言い方をされると、人から誤解されるから」
レイジョーの視線が
「きゅわいぃ♪ なんですか? それ?」
「フェアリーでありんす」
「あたしに、ください♪ 大切にしますから」
慌ててレイジョーを制するクケ子。
「弟はモノじょないから」
結局、拓実はレイジョーの胸の谷間を寝床にされて。
クケ子たちは、アクヤク・レイジョーを新たな仲間に加え、双子ゴーレム山に向かって冒険漫遊の旅を開始した。
その頃──レイジョーに吹っ飛ばされ、牧草の地面で虫のようにピクッピクッしている甲冑騎士を、しゃがんで棒の先でツンツンしている。
自称魔法少女『シドレ』の姿があった。
ツンツンしながら、シドレが言った。
「まったく、先走って……リーダー軍団の仲間が向こうで待っているドスドス、あたしがリーダー軍団のお目付けを、甲骨さまから命じられたドスドス……術師軍団の方は、ワオ・ンがお目付け役で向かったドスドス」
顔を上げた甲冑騎士は、しゃがんでいるシドレを見て一言。
「白」と、呟き。
シドレに棒で叩かれた。
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