③魔法少女【シドレ】登場しちゃいましたドスドス……きゃぴ♪
クケ子たちは、伝達屋を使って予約したホテルに到着した。
ホテルでチェックインしてから、クケ子がクロークにいる人間のフロントに訊ねる。
「この都は魔勇者から何もされなかったのね?」
「ええ、お陰さまで……わたしの町は、石像や
「アレ造ったの、あなたたちだったの!?」
「元々、石工職人の町ですからね……その気になれば一日一体、等身の石像を仕上げるくらいの石工職人はいますよ」
ここでフロントは、声を潜めてクケ子に言った。
「実は大きな声では言えませんが、この町も人頭獅子像を造っている時に、魔勇者のウ●コ野郎の怒りを買ったコトがあるんですよ、オレはここまで太っていない! 造り直せって」
「確かにあの
「ぜーてぇに、腐った魔勇者に頭を下げたくなかった石工の頭が、石像の数体に呪いをかけたんです。
どれかの石像を壊したり傷つけたりしたら。呪いが魔勇者のウ●コ野郎にかかるようにして……その呪いがあるために、魔勇者はこの町に手出しができなかったんです」
「どんな呪いなの?」
「【ウ●コの呪い】です……人前で緊張してウ●コをしたくなる」
クケ子は、またウ●コ……この地域の人は、よっぽどウ●コ好きだと思った。
「石工の
フロントの話しを聞いていたヲワカが言った。
「あきちの『排泄の魔矢』と通じる呪いでありんすな」
コホンッと咳払いをしてから、フロントが言った。
「今は魔勇者もいなくなってしまったので、行き場を失ったウ●コ呪いの効力は、レザリムスの住民に向かうかも知れませんね……今、呪いをかけた石工の頭が。一つ一つ石像巡りをして呪いをかけた石像を探して、呪いを解く地道な作業が続いています」
フロントの話しだと、呪いはかけた本人にしか解けないらしい。
ホテルにチェックインしたクケ子たち一行は、ヲワカは水の都の観光へ、ヤザは土の都の観光へ、クケ子とレミファは平凡の都の散策へと分散した。
クケ子とレミファは、おしゃれな通りにある。
『食用スライム団子専門店』を発見した。
串刺しされた小型スライムや、山盛りになったスライムが量り売りされていた。
店先では、買ったスライム団子を食べていくコトもできた。
クケ子がレミファに言った。
「少し休んで食べていく? あたしは、レミファが食べているのを見ているだけでいいから」
「そうぜらね、少し小腹が空いたぜら」
クケ子が、店にいる店員のゼリーのような体をしたスライム娘に、団子を注文して。
レミファが店先で食べている隣にクケ子が座る。
店の中で自分の体をちぎって、スライム団子を作っているスライム娘の店員が、不思議そうな顔でクケ子の盾を見ながら訊ねてきた。
「さっきも、この店に来てお団子買いませんでした? あっ、でもガイコツじゃなかったから別人かも? 刀も同じ刀でしたけれど?」
それを聞いたクケ子が、スライム娘に聞き返す。
「あたしたちは、初めてこの店に来たけれど」
「じゃあ、やっぱり別人ですかね? 紫系の魔女ルックの女性と一緒でしたけれど……語尾に変な繰り返し言葉をつけて、しゃべる。とんがり帽子の」
店員の言葉を聞いた、レミファが動揺した様子で、スライム娘に聞き返す。
「どんな語尾だったぜら! 思い出すぜら!」
「えーと、確かにドスドスとか」
レミファの手から、串刺しされたスライム団子が一個、串から抜けて地面に落ちる。
青ざめた顔でレミファが呟く。
「間違いないぜら……魔法少女【シドレ】ぜら。もう誰ともパーティーは組まないって言って、引きこもっていたのに……どうして?」
クケ子が青ざめているレミファに訊ねる。
「知り合いなの?」
「知り合いじゃないぜら……魔女や魔法使いや、魔導師や、呪術師みたいな術師系にとっては。ある意味最悪の相性が悪い相手ぜら……
アイツに勝てそうなのは、西方地域の大魔導師『ナックラ・ビィビィ』か、北方地域の魔女皇女『イザヤ・ペンライト』くらいしか思い浮かばないぜら」
レミファが魔法少女シドレに関して語りはじめる。
それに寄ると、レミファが住んでいた地域では各村々から数年に一回。
村を代表する、魔法少女や魔女っ子や魔女を選出して、技量を競う大会があるらしい。
「あたしは、ゼラ村代表の魔女っ子として選ばれて、その年の大会で優勝したぜら」
「すごいじゃない、シドレも同じように選ばれたの?」
「魔法少女シドレは……運が悪い魔法少女ぜら、最初の年は、数名の魔法少女に選出されたけれど選ばれなかったぜら。
年齢を重ねた数年後には、魔女っ子で落選……魔女の年齢になってやっと選ばれて、大会に村の魔女部門代表で出場したぜら」
「優勝したの? レミファの話しだと、すごい力を持っている実力者みたいだけれど?」
「シドレは優勝できなかったぜら」
「どうして?」
「初戦で緊張のあまり、足がつって医務所に運ばれて……そのまま、初戦敗退したぜら」
「シドレは、どんな能力なの?」
「それは……」
レミファが続けてしゃべろうとすると、威光的な女性の声が聞こえてきた。
「やっと見つけたぜ、オレの偽者ガイコツ」
声が聞こえてきた方向を見たクケ子は、仰天した。
そこに、赤いガイコツになる前のクケ子が、腰に手を当てて立っていた。
威光な薄笑いを浮かべた、ガイコツでないクケ子が言った。
「オリジナルは、冴えねぇガイコツだな……オレの骨格は黒いらしいぞ、確かめるコトはできないがな……自己紹介しておくぜ、オレの名前は【ナニ・ヌネ野】甲骨さまの妹だ」
「ナニ・ヌネ野? 魔勇者の娘の妹?」
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