⑤お待ちかね♪雪猿人も入る温泉お色気入浴ちょいサービスシーン
その夜──クケ子たちは、レイ・ナおばあちゃんの温泉宿でくつろいでいた。
源泉かけ流しの露天風呂の女湯──赤い満月を眺めながら。クケ子、レミファ、ヲワカの三人はお湯に浸かっていた。
「ふぅ……極楽、極楽、骨の芯まで温まる」
温泉に浸かる赤いガイコツ。
レミファは、外した首を近くの石の上に置いて入浴している。
それなりに、胸があるヲワカが岩の湯船の中から。
洗い場で体を洗っている、首なし巨乳女体をチラチラと、気にして見ているのに気づいた小振り胸のレミファがヲワカに言った。
「言いたいコトはわかるぜら……あのレンタル体は、湯上がり用だぜら。いつものこの……」
お湯に浸かっている首なしロリ体が、自分の体を指差す。
「体は、顔とのバランスが一番いい体ぜら……あたしだって、お風呂上がりには胸でかくなりたいぜら」
ヲワカは、視線を深緑の木々に移して、レミファの体は見ないようにした。
クケ子がレミファに訊ねる。
「そう言えばレミファは、お風呂で顔とか頭は洗わないの?」
「今から洗うぜら……よい子は湯船の中で頭や顔を、こんな洗い方してはダメぜら……頭や顔を洗うのは洗い場でぜら」
そう言うとレミファは、取り出した網の袋に外した頭部を入れて、お湯の中でバシャバシャ上下左右に揺らした。
さすがにこれには、クケ子も言葉を失う。
「ぷはぁ……サッパリしたぜら」
袋から出され、石の上の夜風で乾かされている生首を見てクケ子は一言。
「ワイルドな洗い方ね」
と、言った。
レミファは、湯に浸かっているクケ子の周辺のお湯が、赤く変色してきているのに気づいた。
「クケ子どの、何やらお湯の色が?」
「これダシが出ているだけだから気にしないで」
その時、脱衣場の方から何やら数名の女子学生らしき声が聞こえてきて、なんとなくクケ子はお湯の中に全身骨格を沈ませる。
「委員長、本当に光輝さま女湯の方にいるのですか?」
「確率は二分の一……いるかも知れないし、いないかも知れない」
「光輝、女湯にいたらいいなぁ」
会話をしながら、脱衣した三人の恐竜娘たちが入ってきた。
メガネを外した、テリジノサウルス娘が目を細めて露天風呂を眺める。
「なんか、ぼやけていてよく見えない……光輝くんいる? パキ」
パキケファロサウルス 娘が答える。
「尖った耳の胸が大きいエルフのお姉さんと……首なしの女の人が二人と……石の上に女の子の生首が乗っている」
「生首? 首なしの体? 温泉村殺人事件?」
アマンガサウルス娘がお湯の中を覗き込んで言った。
「あらあら、お湯の中には赤い白骨死体が沈んでいますね」
状況を想像した委員長が悲鳴を発した。
「ひぇぇぇぇぇぇ!」
その頃──竹の仕切りを挟んだ男湯では、ヤザと光輝と
赤黒い体毛で頭と肩の部分にだけ白い毛が生えている、赤ら顔をした雪猿人は、まるで頭と肩に雪が積もっているように見えた。
雪猿人がヤザに言った。
「そうですか、魔勇者の娘を退治に、ご苦労さまです」
「魔王の城まで、のんびりと物見遊山で行くでござる」
ヤザが、湯から出て洗い場で体を洗っている光輝に訊ねる。
「ひいひいおばあさんへの誕生日プレゼントは、もう渡したでござるか?」
尾骨から鳥の飾り羽根を生やした、ジュラ・光輝の肘から脇にかけては短い羽毛が生えていた。
光輝の
泡立てたスボンジの泡で体を洗いながら光輝が答える。
「オパール化したアンモナイトの化石をプレゼントしました……おばあちゃん喜んでくれました」
「それは、良かったでござる」
「明日、村の人がひいひいおばあちゃんの誕生日パーティーを広場でやってくれるそうです……料理も出るそうなので出発前に、ぜひ食べていってください」
「それは、かたじけない急ぐ旅でもないので。クケ子どのと相談して馳走になろう……おや? なにやら女湯の方が騒がしいでござるな?」
竹の仕切りを隔てた女湯の方から声が聞こえてきた。
「この向こう側に、光輝がいる……ねぇ、委員長も覗かない……男湯」
「降りなさいパキ! あ、あたしは別に光輝くんの裸なんか……あっ、ダメだってば! 仕切りが壊れる!」
その声の直後に、竹の仕切りの一部が倒れ。パキケファロサウルス娘が男湯に飛び込んできた。
「光輝、見っけ♪ 背中洗ってあげる♪」
ヤザが両手で胸を抑えて乙女のように。
「きゃあぁ」と悲鳴を発して。
仕切りの向こう側では、顔を真っ赤にしてタオルで裸を押さえ隠して呆然と立ち尽くす、テリジノサウルス娘の姿があった。
その夜はクケ子の提案で、恐竜娘チームとクケ子チームの交流『枕投げ戦』で盛り上がり。
温泉村の夜は、楽しく過ぎていった。
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