第273話 本篇になりそうでならなかった話3 石鹸の話
ネコのウ⚫チ事件の頃、疫病が発生しそうになって、珍しくサイコ漢方医が活躍? するはずだったけど、葵ちゃんの守備範囲外&また長くなると、没にした記憶のある薄ら怖い話です……(´・ω・`)
*
「“
「以前、姫君が本で見た、目に見える汚れ、見えぬ穢れを落とす薬品だそうな。薬を取り扱う
「畏れ多い話にございます」
「穢らわしい事件は、
「……身命を賭して、取り組ませて頂きます」
数日後、あっという間にでき上がった四角い“石鹸”と、製造方法に関する分厚い料紙の束が届き、
「
すっごい研究熱心で超有能!! 葵の君は料紙の束にそう思い、不思議そうに、石鹸を見ている紫苑に、石鹸の乗った盆を預けてから、女房に伝えるように言う。
「大層な酷い匂いがすると、文献に書いていたと、そうおっしゃられておる」
「そうですか……」
「不思議な姫様でいらっしゃったよ」
「まあ、なんということでしょう!! 兄君がお会いできたなんて!! 石鹸とはなんですか?!」
石鹸がツルツル滑る上に、落とした拍子に踏んで転んでしまった紫苑の発案で、渡殿に並べてあった石鹸トラップに滑った“ウ●チ”の犯人が見つかった頃、
「これが石鹸……」
妹君は不思議そうに、四角いソレを眺めていたが、ふと兄君にたずねてみる。
「菜種から油を取れるならば、花や果実からも油が取れるのではないでしょうか?」
「………」
自分の話に、ポカンとした顔をしている兄君に、
「お忘れになって下さいませ、無知なわたくしが、兄君に意見など……えっ?!」
「素晴らしい考えだ!」
壊れた性格ではあるが、とにもかくにも優秀過ぎる研究熱心な男は、さまざまな研究を
薬よりも祈祷が重要視される時代、いつも少ない予算に四苦八苦している典薬寮の官吏たちは、押し寄せる発注と、それに伴って増加された予算に沸き、改めて
「妹君の発案、と申しております」
「妹君の?」
石鹸で体を洗っていたのは、はじめは
やがてそれは徐々に世界に広がってゆき、庶民相手の風呂屋も登場し、絵空事の平安時代の公衆衛生は、実際の歴史よりも、格段に前進したのであった。
「本当にすぐに手が奇麗になる」
自分ので
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