第222話 祓い 3
〈 右大臣家 〉
小さな花音が『舞』をながめている頃、
彼は、
忙しく荷造りをしていた四の君は、不思議そうな顔をしたが、それでも
右大臣は皆の姿が消えたあと、帝が寝ている寝殿以外、すべての対屋を仕切っている几帳や屏風、ありとあらゆる間仕切りや遮蔽物を取り払わせて蔵に運ばせると、すぐに集まり出す予定の二官八省の公卿たちの席次を取り決めて、家人に指示を出す。
『頼りない上に見栄を張りたがる日和見主義者』
関白にはそう酷評される右大臣であったが、“藁にも縋りたい”そんな状況から逃れることができる目算と、自分自身の“大願成就”を、ハッキリ示されたいまは、テキパキと懸命に自分に与えられた役目を果たしていた。
やがて時が刻々と流れ、ようやく八省院と呼ばれる大内裏にある朝議場よりも狭いながら、なんとか空間を確保すると同時に、続々と随人たちを引き連れた公卿が、牛車で乗りつけてきたことを告げられる。それを聞いた右大臣は、自分自身も慌てて束帯姿に着替えるために女房を呼んだ。
初めにやってきたのは、
うしろにも牛車から降りた黒の束帯姿の公卿たちが、
その頃、ようやく
公卿たちは関白が出した正式な使者からの
その光景はまさに壮観で、だらしなく飲み食いしていた僧侶たちが、役に立たぬことに気づき、しかたなく冷めた顔で、どんよりと座り込んでいた
するとその時である。夕闇の迫る空に異変が起き、まるで空を闇で覆いつくすような鳥の大きな群れが、右大臣のやかたの、それも帝が
関白に降りた『御仏の御告げ』がはじまるまでの時間を、見事に稼ぎ切った
それは新月、月のない
*
『本編と多分関係のない小話/弘徽殿女御の
次期東宮妃として、将来の国母としての教育を受けるべく、葵の上と同じく、超厳しい妃教育の日々を送っている。
三「姉君はおかわいそうね」勉強のあとに三の君が顔を出して、一緒に菓子を食べてる。
弘「後宮で他の妃に頭を下げるくらいなら、それまでにいくらでも苦労するわよ!!」菓子を食べながらまだ読書してる。
三「……そうですか」負けず嫌いだなぁと思い、わたしはそこまで苦労したくないから、顔がよければまあソコソコでいいやと思う三の君でした。
四「どれくらい姉君は偉くなるの?」
弘「そうね、少なくとも右大臣の父君なんて目じゃないわね! ふふん!」
右「…………(漢方薬を飲もう)」立ち聞きしていた。地頭のよさと美貌に、超期待してるけど、この気の強さに、なんだかいまから将来を思い胃が痛いのでした。
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