第215話 【現代編/小話三本立て】&御神刀小話

 ※小話三本は、全部、葵と花音かのんのふたりが転生前の大学1回生の時の小話です。


『小話1/女子大生二人の部活と学校が休みだった日』


 葵「花音かのんちゃんって、車庫入れが下手くそやね……」誘われてコストコについてきたある日の発見。スーツを届けたアノ日、無茶な駐車をしたのは急いでいたからではなくて、本当に駐車が下手だったことに気づいた。駐車し出してすでに10分経過中。頬杖をついてボンヤリ見守っている。

 花「無免許に言われたくないっちゃ……」そんな訳で大体はバイクに乗っているのでした。笑


 *


『小話2/弘子ひろこさん』


 最近の弘子ひろこさんは、あの頭にくる京男の父親と息子を、とある計略を持って、店に出禁にした上に、朱雀君と葵ちゃんが、お試しとはいえ結婚を前提につき合い出したと言うので、ご機嫌麗しく絶好調だった。


 昨日は配信しているYouTubeチャンネル、『平安お姫様のお部屋』(3ヶ国語対応)の登録者数が十万人超えをしたので、YouTubeから銀の盾も届き、すっかり上機嫌で、扇子を片手にヒラヒラとひとり、自分の部屋で舞い踊っていたが、ふと扇子を持つ手を止めて、この世界での子供の頃を思い出す。


 思い出したそれは、日本舞踊の習い事の帰り道。いつも自分をからかってくる同級生に偶然出会い、その日も相変わらずの態度だったので、ついつい相手の頭を扇子でピシリとやって、お供のねえやに言われた言葉だった。


「お嬢さん、いくら相手が悪うて、腹が立ってもやり過ぎです!!」


 クセというのは生まれ変わっても、なかなか抜けないようである。ふと前世の父であった右大臣を思い出して、クスリと笑った。


「次は“金の盾”(チャンネル登録者百万人)が欲しいわね……」

「お嬢さん、いくら事故の後遺症がなくなった言うても、もう少し大人しく暮らしておくれやす。わたしの心臓が持ちません。それに“金の盾”より明日の準備を早くしてもらわんと……」

「そう言えば……」

「そう言えばやあらしません!! お嬢さんがお相手にも大女将おおおかみにも、無理に無理を言うて、急過ぎる話を……」 


 すっかり年をとった、ねえやだった婆やは、袖の端で目元を押さえながら、部屋の隅でお嬢さんの奇行にため息をついていた。幼馴染の朱雀のぼんは、ええ人を見つけて、ゆっくりお付き合いをしてはると聞いているのに、お嬢さんにいたっては、明日が結納だというのにもかかわらず、この有様である。


 *


『小話3/本当にあった怖い話』


・基本的に車で通学するのは禁止なので、(理事の朱雀部長は別)夜遅くまで居残っていて、最終のシャトルバスに乗り遅れる心配が大きくて、バイク通学者が多い強化部の部員たち。


※少林寺拳法部


「バイクはね――、雨風がね――、暑さ寒さは我慢すればいいけど、今日は台風が近づいているらしいから怖い怖い……」

「なにか速度がやたらと遅いらしいよ、抜けるのが明後日の朝だって……」

「はあ、帰るのが怖い。嫌だ嫌だ……」もう、ポツポツ雨が降っているし、かなり風も吹きだしている。


 それが耳に入った春宮はるのみや部長。


「では、台風抜けるまで学内合宿にしましょう。食事は食堂に、お弁当を頼んでおきましょうね」天使のようなほほえみ。

「…………」


 そんなつもりじゃなかったのに、台風が抜けるまで、学校内の道場で寝泊まりする地獄の学内強化合宿が、いきなり始まったのでした。



※合氣道部


葵「うわぁ、かわいそう……」道場は同じフロアなので、なりゆきを見ていた。こちらもバイク組多しで、早々に帰り支度中。


合氣道部部長「なに他人事だと思っているんだよ? あ?」


葵「……え?」巻き添えを食らう? その他の道場を使用している各強化部たちでした。お弁当は支給してもらえるけど、どこも基本は徹夜の地獄の強化合宿。


花「葵のお弁当だけなんで『特上』なの?!」自分のは食べ終わって、隣からわざわざのぞきにきてた。他の一回生はみんな『並』


葵「え? えっと……当たりかな?」理事室では手配した春宮はるのみや部長が、お弁当を食べながらほほえんでいた。


千「お前は、なにをしとるんじゃ!! よその部室まで遠征して弁当をたかるな!! ウチの“イナゴ”がすんません!!」


 副部長に見つかって、ズルズル連れていかれる花音ちゃんでした。笑


 *


※御神刀の話


葵の君「ん――、刀の身(刀身)は、それでいいけど、鞘とかはもっと飾りはキラキラした方が可愛いかな……」


刀匠「もっとですか?……」


葵の君「そう、もっとキラキラ! キラキラがいいわ!!」元摂関家の姫、なんの遠慮もなし。


朱雀部長「……」横で貯金が足りるか心配。いざとなったら、アンティークティーカップのコレクション売らないと……とか考えている。


元の? 指輪のキラキラが目立たなくなって、葵の記憶にないくらいになっているのは、葵の君の趣味? のせいでした。笑

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