第1683話 【エピローグオブ仁香すわぁんのお見合い・その2】スタンバイ、信介!! ~師匠、動く~

 前回のあらすじ。


 仁香すわぁんがうっかり「お見合いなんかしなくても相手いるから!!」と仁香ママに訴えた結果、何故か水戸くんとお見合いする事に。

 一方、その一報を聞いた水戸くんは即答でお見合い参戦を決める。


 水戸くんの信介が人生で初めて仕事をするのだろうか。

 だが、水戸くんの暴走を止めるべく、とある男が立ち上がろうとしていた。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 こちらは久坂家。


「いけんいけん! 六駆!! 考えなしに突っ込んだらダメじゃ言うとるじゃろ!!」

「大丈夫です、安心してください!! 大タル爆弾ここに置きますから!!」


「余計にいけん!! なんで全員近接武器なんじゃ!! ハゲ!! 今は何もせんでええからの!?」

「かっかっか!! 俺が石で狙撃してやらあな!! そらぁ!!」



「うわぁ!! すみません! 久坂さん! 死にました!!」

「ワシも乙ったわい。ハゲ、もうネオ国協の仕事しに行ってええで」


 楽しいモンハンタイムからスタート。



 リオレイアとリオレウスの仲良しコンビにボコられた久坂さんチーム。

 一旦ゲームはヤメて、お茶とお菓子で一服する事となった。


「しっかし、六駆が結婚式場造る手伝いしてくれぇ言うてくるたぁのぉ。大人になったもんじゃわ。前のお主じゃったら意地でも自分独りでやるって言うちょったじゃろうに」

「日本本部で構築スキル使える人は久坂さんと五十五さんとあっくんさんくらいですからね! 久坂家の皆さんに力を貸してもらえれば僕も安心です!!」


「雷門のが構築スキル使いとしては一線級じゃったんじゃけどのぉ。惜しい男を亡くしたのぉ」

「善吉ならネオ国協で頑張ってるぜ? 死んじゃいねぇよ?」


「あれを雷門のと呼ぶ勇気はワシにゃあない」

「この間お見かけした時には肩にランチャー付いてましたよ!!」


 パーフェクト雷門さんは雷門善吉を超えた超人類なので。

 頼めば構築スキルも使ってくれる可能性は高いが、六駆くんが「大丈夫です!!」と依頼を拒否。


 炬燵に入って緑茶とお煎餅。

 じい様の家での正しい過ごし方をしている六駆くんのところへ莉子ちゃんがやって来た。

 久坂家の庭には主に小鳩さんが使う門が生えているので、ミンスティラリア魔王城からなら誰でも来られるのである。


「ごめんくださーい。六駆くんいますかー?」

「いるよー!! どうしたの? 莉子! 今日は仁香さんのところで1日トレーニングするって言ってたよね?」


 ここで莉子ちゃんの口から凶報がもたらされた。


「えっ!? 仁香さんと水戸さん、お見合いするの!?」

「ほぉ。仁香ちゃん、ついに嫌よ嫌よも好きのうちを地で行く覚悟キマったんか」


「それがそのぉー。わたしたまたまお電話聞いちゃったんだけど。売り言葉に買い言葉って感じでね。なんだか仁香さん、しょんぼりしてたの。それで、差し出がましいかもって思ったんだけど。六駆くんって今は水戸さんの師匠でもあるでしょ? 水戸さんに一言、あんまり仁香さんを困らせないでって言って欲しいなって!!」


 六駆くんが「よし、分かった!!」と力強く頷いて、立ち上がった。


「わたしは行かない方がいいよね? こーゆうのって男の人同士の方がいいもんね?」

「そうだね!! 莉子はここで久坂さんにお菓子もらって食べててくれる?」


「おお。莉子ちゃん好みの菓子もあるで! 貰い物のバウムクーヘンがあったのぉ! ハゲ、ちぃと取って来てくれ。冷蔵庫の一番下に入っちょるけぇ」

「ったく、剣友は居候の扱いが一向に上達しないねえ。茶も淹れ直すかい?」


「そうじゃのぉ。莉子ちゃんにはミルクティーが良かろう。ハゲ、紅茶の場所分かるじゃろ?」

「あいよ。小鳩とジョーがいねぇと俺の仕事が増えていけねえや」

「あ! わたしが淹れますよ!! 場所教えてください!!」


 久坂家は平和であった。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 30分後。

 ネオ国協本部、警備部隊舎では。


「水戸さーん!! 僕です、僕!! いたらちょっと来てくださーい!!」


 六駆くんが煌気オーラ探知もせずに、雑な感じで水戸くんの名を呼んでいた。


「『瞬動しゅんどう』!! お待たせしました! 逆神師匠!! 水戸信介、ここにいます!!」

「おおっ! ちゃんと修業してるみたいで感心しました! 『瞬動しゅんどう』の練度上がってるじゃないですか!!」


 恐怖は人を勤勉にする。

 水戸くん、未だに六駆くんのふぅぅぅんによる支配下で修業中。


「今日は修業の予定なかったと思うんですけど」

「あ、違います。修業じゃなくてですね。小耳に挟んだんですけど、仁香さんとお見合いするんですって?」


 水戸くんがとても良い笑顔になった。


「さすがは師匠!! もうご存じでしたか!! そうなんですよ! ついに自分も仁香すわぁんと結婚を前提にお付き合いする事になったんです! ふふふふふふ!!」

「それ、なんか勘違いみたいですよ?」


「えっ? いやいや! だって川端さんから聞いたんですよ? 仁香すわぁんからのご指名だって」

「だから、水戸さんの思ってる感じじゃないみたいです」


「いやいやいや! 自分の事を仁香すわぁんが求めてくれてるって分かってますから!! 自分と仁香すわぁんは元から両想いでしたし!!」

「水戸さん。ちょっと僕の話を聞いてもらえます?」


「ははははっ! 逆神師匠! さては自分に結婚といやらしい事をどっちも先越されるからって焦ってるんですか? はははは! 嫌だなぁ、師匠!! なんだかんだ大学生しちゃって! はははははははは!!」


 六駆くんがとても良い笑顔になった。



「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!」

「あ゛あ゛!? ごめんなさい、自分ちゃんとお話聞きます!! ごめんなさい!!」


 六駆くんを煽るという事は、死の覚悟があるという事になる。

 水戸くんはやっと仁香すわぁんと一緒になれるかもしれないのに、死にたくなかった。



 六駆くんが莉子ちゃんから聞いた事情をかいつまむ事なく、1から10超えて100超えて6000くらいまで順序立てて言い聞かせた。

 だいたい3時間くらい六駆くんの話を正座して聞いていた水戸くん。


「えっ!? 仁香すわぁんは自分とお見合いしたい訳じゃなくて、お見合いしたくないから渋々自分とお見合いするんですか!?」

「うわぁ! ちょっと何言ってるのか分からないや!!」


 しかし、だいたい合っていた。


「まあそういう訳なので。当日は仁香さんに迷惑かけないようにしてください。いい感じにお見合いのお相手を務めて、いい感じに破談させて来てください」

「えっ!? でも流れで上手くいく可能性もありますよね!? その場合はどうすれば!?」


 六駆くんがとても良い笑顔になった。


「そんなケースに発展したら、それはもう個人の自由なので。頑張ってください」

「ふふふふっ! 逆神師匠のお墨付きをもらったぞ!! ふふふふふふっ!! ついに34年間眠らせておいた信介が火を噴く時が来た!!」


 水戸くんは六駆くんの想定よりもずっとポジティブだった。


「これは良くないな。仁香さんの方にも連絡しておこう」


 ここのところ活動的な我らが主人公。

 望まぬお見合いに程よいサイズの胸を痛める仁香すわぁんを救うため、東奔西走。


 とはいえ、これから日本本部へ行くのは面倒だったので、ネオ国協本部の筆頭理事室へ向かった。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 筆頭理事室に入ると、数秒のやり取りで川端さんがだいたい全部理解してくれる。


「ここの通信端末を使うと良い。水戸くんの邪な念も届かないはずだ」

「ありがとうございます! じゃあ、仁香さんに繋いでもらえますか?」


 「心得た」と応じた川端さんが、青山監察官室との通信回線を開いた。

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