第1614話 【エピローグオブSAGAのクリスマス・その1】和泉さん、嫁さんの実家に帰省中 ~今回はズッ友の夫婦も誘ってみた~

 今年の日本探索員協会のクリスマスは本場アメリカのクリスマス休暇と見紛う程に上級職の有給消化が多い。

 これは上級監察官でありネオ国協総理事も兼任する、改めてこの人は仕事し過ぎではないかと心配になる男、南雲修一の指示によるもの。


 前述の通り「マジで日本仕事し過ぎやろ」と各国探索員協会も心配したのかどうかは判然としないが、主にフランスとアメリカにイタリアの3国が率先して「ダンジョン発生時、モンスター討伐などの任務は我が国が引き受けます」と表明。

 南雲さんの仕事はネオ国協関連に集中できる事になってありがたいが、そうなると日本本部の監察官が暇になる。

 もっと言えばSランクやAランク探索員の日常的な訓練を必要としないレベルの者も特にやる事がない。


 ダンジョンが日本の地域に生えて来た場合はもちろん対応するが、これまでは世界各国の対応を日本が単独で行っていた事を考えると余剰人員をクリスマスに本部で遊ばせておくのもおかしいぞという話になった。

 よって、若手や新任の監察官および上位ランクの探索員は「本部で遊ばせてないで街で遊ばせよう」という方針が決定。


 具体的に名前を挙げると、監察官からは加賀美政宗、和泉正春、青山仁香すわぁんに「有給使っておくんなまし」と南雲さんからの指令が飛んだ。

 彼らの留守は地味だけど描写されていないだけで仕事量は南雲さんに次ぐナンバー2、困った時の楠木監察官が引き受ける。


 そんなこんなで急に日本へやって来たクリスマス休暇。

 今回はとある監察官にフォーカスが当たる。

 久方ぶりである。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 佐賀の唐津駅に門が生えて来た。


「本当にありがとうございました! 逆神くん!! 今回も新幹線で帰省を考えていたので、助かっちゃいました!!」

「いえいえ! お礼ならノアに言ってあげてください! ノアの『ホール』がないと僕は行ったことがない場所に『ゲート』を発現できませんからね!」


「ありがとう! ノアちゃん! 逆神くん!!」

「ふんすー!!」


 六駆くんは自分のデート前に色々なカップル、あるいは仲間のクリスマスにさり気なく味付けをしている。

 さすがは主人公の最終ロット。

 最後のクリスマス回ともなれば八面六臂の大活躍をしつつ、自分のクリスマスもキメる。


「あぁ。佳純さんよぉ。逆神に礼は1度で良いんだよなぁ。この野郎よぉ。まーた懲りもせずに俺の服かっぱらって小坂とのデートに行きやがるんだからなぁ。てめぇ、いい加減にデート用の服くらい買いやがれぃ。店ごと買う金あるだろうがぁ」


 佐賀の唐津駅に出現したのは和泉佳純さん。旧姓土門佳純さん。


「あっくんさん、そのような言い方はよろしくないかと。小生が軽い吐血で佐賀までやって来られたのは逆神くんのおかげでごふっ」


 佳純さんの旦那。和泉正春さん。

 そしてもうセリフだけで誰だか分かる男。あっくんこと阿久津浄汰。


「遅くなりましたわ!! 莉子さんのおデート服を見繕って差し上げておりましたの!! 六駆さん、今日の莉子さんはチートデイではないらしいですわよ!!」


 最後にかなり前から阿久津小鳩になっているけど小鳩さん表記しかされないので、結婚による改姓で未だ一番違和感のある乙女。小鳩お姉さんが門から出て来た。

 ものすごく有益な情報と一緒に。


「えっ!? うわぁ! さすが小鳩さんだなぁ!! 何かあったら僕のスマホ鳴らしてくださいね!! 自分のデートが盛り上がってなければ馳せ参じますから! そうか、今日の莉子はチートデイじゃないんだ! うふふふふふふふふふふふふ! では、僕とノアは失礼します! うふふふふふふふふふふふふふ!!」

「ふんすっすー!!」


 食べ放題メニューにぶち殺される未来が消えた六駆くんがウキウキで門の向こうへ。

 逆神カップルのおデートに記録係として参加を許されたノアちゃんと一緒に帰って行った。

 そして門が消える。


 今回、佳純さんと和泉さんは実家へ帰省するために佐賀へ。


 お忘れの方のための和泉正春さん。

 天涯孤独の身の上なので結婚後はしばらく働いて後進が育ったら退役予定だった。

 その際は佳純さんの実家で暮らすことがもう決まっている。



 佳純さんの実家は既にリフォーム済み。

 仏壇捨てて部屋を1つ空ける計画は和泉さんによって阻止された。



 その帰省に「あっくんさんと小鳩さん、ご一緒にいかがでげふっ」と誘ったのがズッ友夫婦。

 バルリテロリ戦争終盤で「この戦争が終わったら小生、佳純さんと結婚します。生きていれば家族ぐるみの付き合いをお願いします……ごふっ」と死亡フラグ的約束を交わしたあっくん夫婦に先制パンチ。

 早速家族ぐるみのお付き合いとして、クリスマスダブルデートを提案。


 「まあ! わたくし行きたいですわ!! 夜はホテルを取ればいいですものね! うふふ!!」と、小鳩さん。旦那風に意訳すると「ヤる事は夜だから昼間は行きてぇ」的なご発言。

 口では悪者気取っているが愛妻家のあっくん、「あぁ? なんで知らねぇ場所でクリスマスなんだぁ? 疲れるだけだろぃ。ちっ。和泉さんの新しい実家に挨拶キメねぇといけねぇからよぉ。南雲さんに羊羹もらいに行くぜぇ」と応じる。


 こうして佐賀で過ごすクリスマスが始まった。

 始まったのだが、クリスマスデートなんて全国どこでもイルミネーションを眺めるくらいなのでご当地感は薄め。


 そのため4人はまずご当地グルメを堪能する事にした。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 佐賀と言えばイカ。呼子のイカは外せない。

 市街地を歩いて和食を扱う店に入ればだいたい新鮮なイカが食える。

 活造りを食べるのがベターだが、いかしゅうまいという魅惑の名物があることをご存じか。


 刻んだワンタンの皮で包んだイカたっぷりのしゅうまい。

 見た目もインパクト抜群でSNSにあげれば映えること請け合い。

 味はもちろん無類である。


「ちっ。……うめぇじゃねぇか。じい様たちに土産で買って行くか。小鳩ぉ」

「そうですわね! きっとお酒がすすむと言ってお喜びになられますわ!!」


 あっくん夫婦の胃袋もキャッチしたいかしゅうまい。

 有名なのは『呼子萬坊』であり、いかしゅうまい発祥のお店である。

 興味を持たれた方はスキル『全知全能グーグル』を使って調べてみよう。とても美味しい。


 イカを堪能した4人は唐津の街を散策して、暗くなって来たところで佐賀駅へと移動する。

 1時間の電車移動だが、知らない土地ならそれもまた楽しい。


「……田んぼが多いけどよぉ。のどかで住みやすそうじゃねぇか」

「あ! 浄汰さん! あそこ! ご覧くださいまし!! イルミネーション! 手作りですわよ!!」


「くははっ。田んぼにイルミネーションキメてやがんのかぁ? ……粋じゃねぇか」

「んもぅ! 写真に撮るの難しいですわ!!」


 楽しそうなあっくん夫婦。

 そういえば和泉さん夫婦は静かだなと思った観測者諸君はいかほどおられるだろうか。

 皆でイカ食ってる頃から和泉さんは横になっており、佳純さんのツインテールで運ばれている。


 喩え首都圏ではなくとも、クリスマスの街中。

 平常運転の和泉さんが耐えられるはずねぇのである。


「ごふっ」

「大丈夫ですか? やっぱり私に乗ります?」


「や、ヤメてください、佳純さん。あまり不用意な発言は……げふっ」

「あ! そうですよね!! 夜になったら私の上に乗りますもんね!!」



 こいつらもいやらしい事するんだ。

 だって夫婦である。クリスマスにしないでいつするのか。



 佐賀駅に着いたら真っ赤なアルファードがお出迎え。


「佳純ぃー! 皆さーん!! 待っちょったけんがー!!」


 ピンク色の髪をした佳純ママである。

 6月時点ではピンクのN‐BOXに乗っていたが、和泉さんの仕送りによって「将来家族が増えるけんね! 8人乗りの車ばたっくん知り合いの子の店で買ったばい!!」と親指を立てる。


 一行はいざ、土門家へ。


 次回。

 どのタイミングで峠にあるモーテルを紹介されるのだろうか。

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