第1578話 【エピローグオブ南雲と川端のネオ国協理事仕上がりチェック・その2】理事兼バルリテロリ駐在武官・逆神四郎。気がかりは愚物と愚息。

 バルリテロリの電脳ラボ前に生えている門から南雲さん、川端さん、六駆くんの順番に出て来た一行。

 すぐにラボから五十五くんと六宇ちゃんがやって来て3人をお出迎え。


「申し訳ない!! 今、逆神四郎は皇宮へ行っているかもしれん!!」

「やー。なんかキサンタの様子見に行くって言ってました。あたしもひ孫として申し訳ないですー」


「ちなみに今日、六宇は課題をやっている!! 褒めてあげて欲しい!」

「照れるっす。学校行くのだるいってせんせーに伝えたら、もう課題やってくれたら単位あげるからとか言われちゃいましてー」


 六宇ちゃん、本日も喜三太陛下記念高等学校をサボタージュ中。

 一時期は持ち直していた出席日数も12月に入り絶望的な数字へ。

 来年度も女子高生(21)がほぼ確定している。


 だって彼ぴっぴと一緒にいるふたりきりの時間が楽しいんだもん。

 だったら仕方ないかもしれん。


 なお1年生として編入した五十五くんは仕事の合間に補修を受けており、既に進級の条件を満たしている。

 これで来年は1学年ほど2人の距離が近づく。


「私たちは皇宮に行ってくるよ。逆神くんはどうする?」

「なんか嫌な気配を感じるんでここで待ってます」


「あー。六駆さんのパパ来てましたよ! イカ焼き食べながらワンカップ大関飲んでました!」

「南雲さん。僕はここまでみたいですね!!」


「いや、ついて来なくて良いから!! 今日は『ゲート』だけ発現してくれれば良いから!! ここでオヤツでも食べて待ってて! はい、羊羹! 今日は色んな所まわるからね! 和菓子屋さんで色々と仕入れてるのよ! 君はみんなと羊羹食べてて!!」

「うわぁ! これ美味しいんですよ! 五十五さん! 六宇さん! 食べましょう!!」


 五十五くんがお茶を淹れてくれたので六駆くんが一時離脱。

 南雲さんと川端さんは電脳ラボの隣にある皇宮へ向かった。



◆◇◆◇◆◇◆◇



「ぶーっはははははは!! お寒いところわざわざのご足労、ご苦労やったな! 白衣とオールバック!! 飲みもんはほうじ茶でええけ!?」


 四郎じいちゃんの教育によってちょっとずつ常識を身に付け始めておられる喜三太陛下。

 バルリテロリ皇宮からお送りします。


「愚物。ご足労とご苦労は重複」

「ぶーっははははははぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! すまん、すまんやで四郎!! だってお前、日本語難しいやんけ!! 頑張って畏まったのになんで怒られるんや!? せやけどすまん!! 許してくれぇ!!」


 四郎じいちゃんが「ほっほっほ」といつも通り和やかな表情でやって来た。

 南雲さんと川端さんが敬礼する。


「すみません。ご教育の時間でしたか」

「いえいえ。最近、愚物のところに愚息がやって来るようになりましたの。それを諫めに参っておったところ。ワシにご用でしたらラボを留守にしており申し訳ございませんじゃて」


 南雲さんは簡単に事情を説明した。

 ネオ国協理事の抱えている問題や不安などを取り除いて、発足式に万全を期すために各地を回っているところです。なにか問題はございますか、と。


「ほっほっほ。問題しかない現状ですが、どうにかやってみましょう」


 奥座敷から声が響く。


「おい、じじい!! じいさん!! なんか酒のつまみになるものねぇの? パチ屋でもらった謎のメーカーのビーフジャーキーしかねぇんだよ!! なぁ! なんかくれよ!!」


 四郎じいちゃんが目を伏せた。


「にゃはー!! よく分かんないジャーキーもうまうまだにゃー!!」


 南雲さんが聞き覚えしかない鳴き声を耳にして顔をあげた。

 「あれ!? 椎名くんいますよね!?」と一応声に出して確認もした。


「ええ。クララちゃんは可愛いですの。週に2度くらいの頻度で皇宮の食堂へ来てくれておりますじゃて。彼女は人気者ですからの。食堂の皆も美味しいものを用意して待ちわびております。来ない日が続くと食堂の仕事が滞るほどでして」



 完全に地域猫。

 ご飯ルートには異世界も含まれる。どら猫クララパイセンである。



「椎名くーん!! 私、私!!」

「南雲さんだぞなー。川端さんもいるにゃー。お疲れサマンサですにゃー」


「ああ。良かった。ちゃんとジャージ着てくれてた」

「短パンで出かけるにはお寒い季節になりましたにゃー。六駆くんのおじいちゃんが今度煌気オーラを暖房機能に変換できるジャージ作ってれるらしいぞな! やったにゃ! これでおうちでゴロゴロが捗るってもんだにゃー!!」


「ほっほっほ。バルリテロリはスキル使いとまでは行かずとも煌気オーラを操れる人が多いですからの。暖房と冷房を兼ねた装備を開発中でして。クララちゃんにはモニターを頼んでおるのですじゃわい」

「ご立派です。縁もゆかりもないバルリテロリのためにそこまで真摯に……」


 奥座敷から声が聞こえて来る。


「おいぃぃ!! ふざけんなよ、孫ぉ!! お前ぇぇ!! ワシのたっかいクラッカー勝手に食うなや!! それお前ぇぇ!! キャビアとか乗せて食べるアレやぞ!!」

「ぎゃははは!! 棚にあったから仕方ねぇじゃん!! クララちゃんが食べたら文句言わねぇだろ!!」


「当たり前やろが!! クララちゃんは可愛いしおっぱいデカいやろ!! お前は可愛くないし汚いやろ!! 今ワシはお前にキレとるんやぞ!! このクソ孫!! 論点すり替えんな!!」

「もう食っちまったもんね!! おい、次のつまみ出せねぇと新しいクラッカーの箱開けるぜ? いいのか? へへっ!!」


 四郎じいちゃんが右腕を部分煌気オーラ爆発バーストさせながら言った。



「縁もゆかりもあるのですじゃ……!! 断ち切りたい……この悪縁……!!」


 四郎じいちゃんの仕上がりは上々のご様子。

 間違いなくバルリテロリ戦争の時よりも強くなっている。



 とはいえ、この環境でバルリテロリ駐在武官とネオ国協理事を兼任させ続けていると心身に不調をきたすかもしれない。

 というかもう不調をきたしているかもしれない。


 南雲さんは言った。


「椎名くん。毎週ワインを1本あげるから、バルリテロリで大吾さんがヤンチャしてたら逆神くんにラインしてくれる? それで環境が多少は改善されると思うから」

「六駆くん怒るんじゃないかにゃー?」


「大丈夫だよ。彼、来春には結婚式するからね。どこかでお父さんとは対決して屈服させるか封印するか、何かしらするはずだから。それより前に大吾さんをどうにかできるなら喜んで来てくれると思うよ」

「あいあいにゃー!!」


 つまりこうなる。

 六駆くんは大吾をぶち殺したい。

 特に理由もなくぶち殺したいけれど、理由があればぶち殺すのにも張り合いが出る。

 バルリテロリで酒飲んで一族の恥を晒しているとクララパイセンが通報する事によって、六駆くんはぶっ殺チャンスが増えるし、四郎じいちゃんの負担もちょっと減る。


「ほっほっほ。わざわざのお気遣い、痛み入りますの。ネオ国協で有事の際には逆神家総出で取り掛からせて頂きますので、ご安心くだされ」



「そのお言葉……心強いなんて次元じゃないです。本当に逆神くんと良縁を築けて私は幸せ者です。四郎さん、発足式までお体にお気をつけて過ごされてくださいね」

「四郎さん。これは私のおっぱい牧場で絞った乳牛のおっぱいで作ったバターです。よろしければどうぞ」


 南雲さんと川端さんが何度目か分からない敬礼をした。



 皇宮を後にした南雲さんと川端さん。

 奥の方から「おぎゃああああああああああ」ときたねぇ悲鳴が聞こえてきた。


 バルリテロリは今日も平和であった。


「南雲さん。次はどちらへ向かいますか?」

「スカレグラーナにしましょう。バルナルド様は会いに来た順番とか気にしそうですから」


 次はスカレグラーナのコンバトリ火山。

 ナグモガチ勢が待っている。

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